2011 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ農村変容15年-同一村調査に基づく農村階層構造の変化を中心に
Project/Area Number |
21580268
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80272441)
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Keywords | 海外出稼ぎ / 女性内職 / 縫製工場就業 / 管井戸発展 / 農地利用集約化 / 貧困削減 |
Research Abstract |
最終年度である当該年度には、ボグラ県アイラ村において20世帯の土地なし労働者世帯の就業者全員について、1年間の毎日の活動を記録していく調査研究、および管井戸灌漑所有者による「売水」がほとんどなくなった状況がいかにして生まれたかについての実態調査を実施するとともに、プロジェクト全体の総まとめ、すなわちデータ分析とそれに基づく執筆活動を行った。 具体的には、本プロジェクトの成果は、最終的には英文の本を刊行することにあるが、その主要なChapterの執筆を進めた。主要なChapterのうち、執筆を進めているものの主な内容は、1)タンガイル県ドッキンチャムリア村における海外出稼ぎの急増という事態を受け、その渡航先、期間、収入、送金、送金の村での使途、そして出稼ぎ費用の調達方法とその返済、2)同村における漁網ビジネスの内職が女性雇用に及ぼした影響についての分析、3)若年女性のダッカなどにおける縫製工場就業構造とその影響、4)ボグラ県アイラ村における管井戸灌漑の増大とその作付集約化への影響、5)同村における貧困層の生計向上の動きの実態解明、6)村外からの急激な人口流入と定着過程についての分析、である。 以上のような2つの村で観察された過去15~20年の変化は、バングラデシュ農村で同期間に生じた経済変動をかなり典型的に反映するものであり、それを具体的に克明に叙述・分析することができており、本が完成・刊行されれば、わが国のバングラデシュ研究のみならず、世界のバングラデシュ研究の水準を大きく引き上げることになり、大きな反響が期待できる。
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Research Products
(1 results)