2011 Fiscal Year Annual Research Report
大豆フードシステムにおける持続可能な価格形成と社会的資源配分問題
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21580282
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大石 敦志 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (30283518)
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Keywords | 農業経済学 / 食料経済学 / フードシステム / 大豆生産 / 価格理論 / 消費行動 / 行動経済学 / 資源の適正配分 |
Research Abstract |
現在わが国の農業や食品企業は、下方硬直化した食品自給率や国際穀物価格・原油価格の高騰、消費者の低価格志向という環境下で経営的に大きな問題を抱えており、大豆フードシステム(生産や食品産業、流通でのそれぞれの現場)においても例外ではない。燃料価格、資材価格が高騰し、生産コストが増加する中、産地の大豆生産を支え、持続的生産を維持させるには現在の買取価格より、規模、産地を問わず、概ね20%の価格増加が必要である。大豆製品に関しても加工用大豆価格が20%増加することは製品価格を7%前後押し上げる要因となり、他のコスト増を考慮しない場合でも、10%程度の製品価格増加が見込まれる。個店POSデータによる大豆製品の価格弾力性の計測分析によると、10%の価格増加はそれ以上(1.57倍)の高級品(国産原料を使用した製品など)の需要低下をもたらすと推測される。このことは大豆の産業連関(生産、加工から消費まで)分析によると、価格の増加による付加価値の増加より、需要の減少による付加価値の減少の方がわずかに大きくなり、国内経済を停滞させる。加えて今後の大豆・大豆製品流通量の違いが国内経済に与える影響が大きくなることを計量的に明らかにした。大豆の生産特性や地域農業の現状を鑑みてもっとも理想的な生産量(60万トン)、取引価格(9,000~9,500円/60kg)のケースの場合、包絡分析法によると、大豆地場産業の経営が成り立つためには、製造コストのさらなる効率性を実現しても、最終製品価格を今の10~15%増加する必要である。国の農業や地場産業を守り、安全安心な製品を享受するためには、消費者はこの価格を受容しなければならないが、価格弾力性分析を踏まえてもその受容度は高くないと思われる。さらに今後予想される消費税の増加(8~10%)に対しては、必需性を鑑み、食品の無税化を提唱したい。
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