2011 Fiscal Year Annual Research Report
製品開発による消費多様化対応型品種の普及方策の解明
Project/Area Number |
21580285
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
森尾 昭文 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター・農業経営研究領域, 主任研究員 (50292511)
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Keywords | 新品種普及 / 初期採用者 / イノベーター理論 / サツマイモ / 有色ジャガイモ / 販売促進 / 価値 / マーケティング |
Research Abstract |
本課題は普及が困難である個性的な野菜新品種の普及方策の解明を目的とした。本課題は製品開発において新品種の価値を発見していないことが問題であり、消費者に発見した価値を認識させるには、それがわかるように加工するだけでなく、具体的な例示を広くみせる販売促進が必要だとする仮説を実証した。 その方法は、まずサツマイモ新品種クイックスイートの初期採用者となる消費者を多様な品種の違いを楽しむ消費者と仮定して、イノベーター理論に基づいた実証分析である。結果として多種類の干し芋の製造小売業者は販売に問題なく、業務用卸など単一商品になる販路では困難であった。仮定した消費者像に近い顧客が既存顧客にいるか、新品種のイノベーションが顧客に認識されているか、紹介する利用提案の,再現確保などを分析した結果、仮定の消費者に接触が少なく、上記に対応できない販路で事業が失敗する傾向は明らかであった。 次に有色いも類ではアントシアニンの豊富さや効果をアピールする方向に傾斜し、実際にどう使うかは放置されているため、青果用紫サツマイモのホームユーステストでわかった彩りを活かした絵画的表現の提案内容を、多様な品種の違いを楽しむ消費者がより高確率で存在しそうな料理教室を選定して、有色ジャガイモに応用して利用提案を評価するアンケートを行った。その結果、約3/4の回答者が有色ジャガイモに購入希望を示した。結果として、初期採用者像と提案内容の仮説は正しいと実際に示した。 本課題は実際の経済の中で消費者には未知の新商品に対する価値認識のあり方、価値認識を促しやすい顧客を狙ったマーケティングについての仮説の実証を試みたものであり、結果は仮説通りである。これは既存商品との差異が大きい新商品の普及方策の解明であるから、この意義は農産物の高付加価値化実現の目的を超え、他産業のコモディティー化対策にも示唆を与えるものである。
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Research Products
(4 results)