2011 Fiscal Year Annual Research Report
水産業における女性労働に関する研究~グローバル化する世界の水産業のなかで~
Project/Area Number |
21580289
|
Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
三木 奈都子 独立行政法人水産大学校, 水産流通経営学科, 教授 (90416454)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 千年 独立行政法人水産大学校, 水産流通経営学科, 特命教授 (20399629)
大谷 誠 独立行政法人水産大学校, 水産流通経営学科, 講師 (90371864)
副島 久実 独立行政法人水産大学校, 水産流通経営学科, 講師 (40455499)
|
Keywords | 水産業 / 漁業 / 女性労働 / 就業 / EU / グローバル化 / 家族経営 / フランス |
Research Abstract |
本研究は世界の水産業と女性労働力の特徴を明らかにしながら、日本の家族経営と女性労働の状況について分析し、今後の日本の水産業と労働力を展望することを目的としている。2010年度には、以下の成果が示された。 第一にEU内で小規模沿岸漁業を有し女性の漁業従事が比較的行われているスペイン、ポルトガル、フランスのなかからフランスの漁業地区を選定し、海外実態調査を実施した。その結果、女性の漁業従事は地中海など静穏海域の小規模漁業あるいは貝類(カキ・ムール貝養殖に多いことが日本と共通しながら、家族経営の継承が慣習的に日本と異なること等により、家族経営における女性の位置づけが若干異なることが分かった。加えて女性を含めた小規模漁業者が減船や環境保全、観光漁業などEUの共通漁業政策を巡る対応を進めていることも把握された。併せて水産物小売店等の調査も実施し、グローバル化の進展と水産物流通・消費の変化についての把握も試みた。また、フランス及びEUの漁業の状況や制度、漁業就業者と家族経営等について文献を収集するとともに次年度の調査地についての情報を得るため、専門家に対する聞き取り調査も実施した。 第二に、国内では漁業就業者の高齢化と後継者不足が示されているなかで、若年男性の漁業参入の実態と条件を探り発表するとともに、漁業就業者の減少速度が男性よりも速い一方で起業グループ活動が以前よりも活発化している漁村女性の状況について調査・発表し、今後の家族経営と地域の水産業について考察した。水産分野の人手不足の解消を主な目的として行われてきた外国人労働力の導入については、グローバル化の進展と日本の外国人研修制度の制度変化のなかで、研修員の受け入れ先である日本の漁業経営体・水産加工場と、海外の送り出し組織の思惑が以前と変化してきていることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
育休取得に伴い研究期間を1年間延期したものの、研究年次からみると文献サーベイ、国内外調査いずれも予定どおり進んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度の今年度は引き続き国内外調査を行い、グローバル化するなかで世界の水産業と女性労働、家族経営がどのような変化を示しているのかについて把握・分析しながら、日本の水産業と女性労働力の状況について分析し、今後の日本の水産業と家族経営、労働力について展望する。併せて、本研究課題の延長上にある発展途上国を対象とした研究年度以降の調査研究に関する研究視点を明確にしていく。
|
Research Products
(9 results)