2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580292
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中石 克也 Ibaraki University, 農学部, 教授 (40180236)
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Keywords | 沈降特性 / 界面沈降速度 / 試料濃度効果 / カオリナイトフロック / 自己相似構造 / 圧密沈降 / 鉛直流路 |
Research Abstract |
カオリナイトを試料に用いて、凝集粘土フロック懸濁液の界面沈降速度を高い精度で測定し、沈降様式の試料濃度依存性を詳細に調べた。その結果、試料濃度の希薄な領域では、最初に急速な界面沈降が起こった後、圧密沈降へと移行する。試料濃度が増加して中程度の濃度領域になると、最初にゆっくりとした界面沈降が生じた後に急速沈降が起こり、さらに圧密沈降へと移行する。この濃度領域では、試料濃度が増加するにつれて急速沈降が起こりにくくなっていくが、さらに濃厚な試料濃度領域になると逆に沈降が促進されることがわかった。そこで、フロック構造に自己相似則を導入し、薄いところから中程度の濃度領域までの急速沈降過程が現れる範囲に適用できる界面沈降速度式を導き、試料濃度と沈降速度との関係からフロック構造を決定した。その際、沈降過程におけるフロックの有効体積が必要であることから、自重によるフロックの圧縮の影響を取り除いた圧密沈降が始まる初期の段階における沈降体積(初期沈降体積)を用いてフロックの有効体積を求めた。フロック構造を決定するパラメータであるフラクタル次元は2.35となり、妥当な値が得られたことから、提案された界面沈降速度式は有用であることがわかった。これによって、薄いところから中程度の試料濃度における界面沈降速度は、フロックの自己相似構造を導入することによって定量的に求めることができるとともに、界面沈降速度式に物理的意味を与えることができた。 さらに、高濃度領域における異常な沈降現象を明らかにするため、気泡によってできた流路の実態と沈降との関係を詳細に調べた。その結果、流路が発生した場合の界面沈降速度は、気泡を除去し流路を発生させなかった場合の沈降速度に比べかなり速くなった。また、定性的ではあるが、試料濃度の増加にともなって流路数が急激に減少し、流路径は大きくなることがわかった。
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Research Products
(2 results)