2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境価値の評価を取り入れたミティゲーション施設の順応的管理
Project/Area Number |
21580294
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
水谷 正一 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70093143)
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Keywords | 農業工学 / 環境価値 / 順応的管理 |
Research Abstract |
栃木県日光市の圃場整備地区では、平成22年度にミティゲーション対策をほどこした農業水路の工事が完了した。そこで、農業水路における淡水魚の生息場機能を灌漑期と非灌漑期にわけて調査し、管理段階における順応的管理のあり方を検討した。その結果、以下のことが明らかとなった。 (1)通常の柵渠の水路とビオトープ水路(水路幅が広くかつ流速が遅い水路)を比較して、淡水魚の生息密度が有意に高かったのは、灌漑期でスナヤツメ、非灌漑期でドジョウ、シマドジョウ、スナヤツメ、ウグイだった。また、深み拡幅水路で生息密度が有意に高かったのは、灌漑期と非灌漑期でドジョウだった。 (2)柵渠と比較してビオトープ水路では、灌漑期において有意に流速が小さく水深が大きかった。底質では有意に粘土・シルト・砂の割合が高かった。非灌漑期では水深の減少と流速の増加が見られた。深み拡幅水路では、灌漑期に有意に流速が小さく水深が大きかった。また、底質では粘土とシルトの割合が有意に高かった。非灌漑期でも流速や底質について同様の有意差がみられた。他方で、柵渠では流速が大きく、礫と石の割合が高かった。 (3)以上の結果から、底生魚の保全を考えたときは、この地区では農業水路の順応的管理として低流速・高水深の維持および粘土・シルト質の底質確保をめざした管理が重要である。他方で、通常の柵渠の水路は、流速が大きいこと、底質が礫・石であることから、ウグイなどの遊泳魚の生息に適していることがわかった。
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Research Products
(3 results)