2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580297
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
清水 英良 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90144005)
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Keywords | ため池 / 表面波探査 / 微動観測 / 耐震 / スペクトル解析 / 農業工学 |
Research Abstract |
ため池に代表されるアースダムの地震時における挙動はその内部構造の不均質性により複雑であり、事実兵庫県南部地震においても、底樋周辺部の弱部が原因で過大な沈下・クラックが生じ、また外見上無被害に見えるため池に湛水後漏水が生じたりしている。従って、アースダムの耐震性を詳細に検討するには、基礎地盤を含めた内部構造を原位置試験から同定する必要がある。今年度は、前年度に引き続き兵庫県南部地震で被災した後改築された震災復旧濃業用ため池で実施した板たたき法による表面波探査のデータから堤体・基礎地盤のS波構造と直接関連するラブ波の特性をクロス解析により位相角法とF-Kスペクトル法の2つの方法を用いて抽出し、常時微動観測データから求めたH/Vスペクトルと比較・検討することによりため池堤体と基礎地盤の内部構造を推定した。その結果、以下の事項が明らかになった。 1)最小受信器間隔から求めた短周期のラブ波速度は堤体中央・右岸側で約160~170m/s、左岸側で約120~150m/sとなり、場所による不均質性が認められた。特に左岸側は深さ方向にバラツキがあり、堤内に弱部のある可能性が示唆された。 2)常時微動H/Vスペクトルの一次卓越振動数は、堤体中央・左岸側で約4.8Hz、右岸側で約5.7Hzであった。これらの値は、基礎地盤を含めた表層の固有振動を表現していると解釈され、左右岸の堤体厚が中央に比べて小さいことを鑑みると、1)の結果と調和的である。 3)堤軸直交方向各断面の固有振動数をラブ波速度構造から求め、微動スペクトルの卓越振動数と比較・検討した結果、工学的基盤は天端から約13m前後の深さと推定された。
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