2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580298
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
猪迫 耕二 鳥取大学, 農学部, 准教授 (60243383)
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Keywords | 乾燥地 / 塩類集積 / リーチング / 数値実験 / 溶質移動 |
Research Abstract |
塩類集積は,乾燥地/半乾燥地の至るところで大きな問題となっている.初期段階における塩類集積はごく表層にスポット状に集積する場合が多い.本研究では,この事実に着目し,土壌に少量の水分を供給し,集積塩を溶解させた土壌水を表層から吸引することで塩を除去する表層吸引溶脱法を開発し,節水型の除塩技術の確立を目指している. 本年度は,高濃度塩水を含む土壌カラムをインキュベータ内に静置し,蒸発過程による塩類集積を発生させた.これに対し,本法による除塩を行って,より自然条件に近い状態の塩類集積に対する本法の除塩性能の評価した.その結果,砂土に対しては82.4%,砂質壌土に対しては74.8%の除塩率が得られた.このことから,本法は蒸発過程で発生した塩類集積土壌にも効果的であることが示された.砂質壌土の除塩率が低い理由は,集積した塩量に対して,給水量が集積塩を溶解させるのに十分な量ではなかったためであり,土性によって供給水量の最適化が必要であることがわかった. また,数値実験による運転条件の最適化の結果,埴土に対しては10秒給水110秒吸引が有効であることが示された.一方で,数値実験で得られた最適条件で運転した場合でも,また,土壌の吸引力が大きいときには,給水が部分的にしか行われず,除塩効果が限定的になる場合のあることが明らかとなった.このことから,本法を実用化するには挿入部におけるフィルターの改善が必要であることが示された.
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