Research Abstract |
本年度の研究においては,昨年度製作した面的土壌水分量測定用の多線式TDRプローブを使用して,実用性の検証を行った。ここでプローブの長さは1.0mとし,ロッド間隔0.1m,直径5mm,ロッド数は7本とした。 実験は,蒸留水を混合して体積含水率(θ)をほぼ飽和にした,砂(粒径0.15~0.6mm)を,縦0.80m,横1.07m,高さ0.120mの木箱に高さ0.10mまで充填し,その中間の高さに1m長プローブを水平に埋設した。マルチプレクサー(SDMX50, Campbell Scientific社)を介してプローブをケーブルテスター(TDR100, Campbell Sdentific社)に接続し,波形解析ソフトウェア・PCTDR(Campbell Scientific社)を利用してTDR波形の取得・解析を実施することにより,砂の比誘電率(ε)とバルクEC(σ_b)を決定した。計測は,地表面に扇風機により風を当てるところからスタートした。蒸発により土中内の水分が減少していく時間的変化を測定した。 また,同時に点データの測定例として,既製品の3線式TDRプローブ(7.5cm長)を深さ1,3,5,7,9cmで,地表面に対して平行にセットし,実験土槽内の3箇所で測定を行った。また,同センサーを地表面に対して垂直に挿入し,土壌水分及び電気伝導度の時間的変化を測定した。 結果,多線式プローブで得られる値は,水分量に関しては,水平に設置した点データ用TDRプローブ全個の平均値と,ほぼ同じ値を取ることを明らかにできた。また,EC値に関しては,局所的な初期値の違いの影響が大きいことが分かり,全体を均一な初期状態に近づけた実験では,水分量と同様の結果を得ることができた。
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