2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジアモンスーン地域における農業生産域からの大腸菌および肥料成分の流出抑制対策
Project/Area Number |
21580301
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
三原 真智人 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (00256645)
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Keywords | 環境調和型農林水産 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 大腸菌 / 流出抑制対策 |
Research Abstract |
昨年度から継続して、2011年度も人工降雨装置を使用した流出実験を通して、E.coliおよび大腸菌群の流出特性の解明を図った。実験では牛糞と牛糞を2週間発酵させた一次発酵堆肥を使用した。なお、各試料における乾燥質量当たりのE.coli数は牛糞では15×10^6cfu/g、一次発酵堆肥では24×10^3cfu/g、また大腸菌群数は牛糞では2×10^6cfu/g、一次発酵堆肥では136×10^3cfu/gであった。人工降雨下に模型斜面ライシメーターを傾斜8°で設置し、各ライシメーターに堆肥を乾燥質量1000g/m^2(10t/ha)で統一し、施用した。施肥方法は表面施肥、すき込みで施用し、すき込みはロータリー耕転機を模擬しですき込みを行った。 各試料における流出実験前後の単位面積当たりのE.coli数を見てみると、牛糞では1010cfu/m^2の流入量に対し、流出量が1011~1012cfu/m^2となり、流出量が流入量を上回る結果となった。一次発酵堆肥についても流出量が流入量を上回る結果となったが、有意差は見られなかった。大腸菌群数についても、E.coliと同様に流出量が流入量を上回る傾向が見られた。一次発酵堆肥についても同様に流入量を流出量が上回る傾向が見られた。このことから、未熟堆肥を施用した場合、流入した以上のE.coli、大腸菌群が流出する可能性があると考察できた。 各試験区における表面流出量と浸透流出量を比較してみると、E.coliについては牛糞のすき込み区以外には有意差が見られなかったものの、表面流が浸透流を上回る傾向が見られた。また、大腸菌群について見てみると、全ての試験区において、表面流出量と浸透流出量が1010~1011cfu/m^2となり、表面流と浸透流の間に明確な差は見られなかった。これらのことから、未熟堆肥を施用した農地において土壌侵食が発生した場合、E.coli、大腸菌群は表面流と浸透流の両方を通して流出すると考察できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地での観測に加えて、モデル実験によって大腸菌の流出特性の評価は進んだ。しかし、一方、予定していた大腸菌の流出抑制を目指した保全対策の検討は平成24年度に回すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に実施予定の「大腸菌の流出抑制を目指した保全対策の検討」は、平成24年度に実施していく。
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