2010 Fiscal Year Annual Research Report
バイオエタノール原料としての機械処理による木質の糖化率の最適化
Project/Area Number |
21580307
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
庄司 浩一 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (10263394)
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Keywords | 微破砕 / 竹 / 糖化率 / 所要エネルギ / 粒径 / 回転篩 / フレール刃 / 軸回転数 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,研究室で開発したフレール刃と回転篩からなるバッチ処理方式の薄型微破砕機の試作機を用いた。実験材料として竹を附属農場の竹林より直接調達し,今年度は自然乾燥させたもの(水分約13%)を使用した。回転篩の孔径は昨年度よりやや大きくして3,6,8mmに設定し,ロータ回転数は1000~2000rpmとした。トルクを歪みゲージによって測定し,電磁ピックアップを用いて軸回転数を記録することで,処理が行われる間の所要動力の変化をPCカードレコーダに記録した。あらかじめ定寸法に切断しておいた材料をバッチ単位で100g程度微破砕し,JIS標準篩で分級を行った。続いて,分級した微破砕試料を180℃にて高圧熱水処理(亜臨界水処理)を行うことでリグニン・ヘミセルロースなどを改質したあと,糖化酵素(セルラーゼ)によって24時間の糖化を行った。一方,熱水処理を行わない磨潰試料の濃硫酸による糖化も行い,これを基準として糖化率を求めた。分級を行った試料についても同様に濃硫酸による糖化率を求めた。 回転篩の孔径を大きくするにしたがって,微破砕に要する比エネルギは130kJから50kJへと減少した。これは,生の材料を用いた昨年度の実験結果の1/3程度であった。これに伴って糖化率は25%から20%へやや減少しており,生の場合と比較すると2/3程度にとどまった。生材料と乾燥材料の場合で回転篩の孔径を変えてしまったことから単純な比較はできないものの,高圧熱水処理と酵素糖化を組み合わせる場合は,乾燥材料を用いる方が所要費エネルギと糖化率のバランスの点から有利と思われる。一方,分級を行っただけの微破砕試料を濃硫酸で糖化した場合,JIS篩1.4mm以下の場合の糖化率がほぼ100%となったので,微破砕を行う場合のひとつの指標になるかと思われる。また,乾燥材料を用いた場合は,1.4mm以下の微破砕試料が有意に多く産出されたため,この点からも乾燥処理を行った方が有利であると推察される。
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