2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580312
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
皆川 秀夫 北里大学, 獣医学部, 講師 (70146520)
|
Keywords | 連作 / 豚尿液肥 / 長ネギ / 肥培効果 / 連作障害防止効果 / カリウム / 家畜糞 / キノコ |
Research Abstract |
本研究は、畜産を核とした稲作・畑作との資源連携による土壌生態系や食の安全性を重視した「持続農業」の実現をねらいとし農畜産廃棄物(家畜排泄物+作物残渣)の再資源化の技術開発に挑戦するものである。2年目として次ぎの2課題を実施した。 (1)家畜液肥による畑作物の栽培実験とその連作障害防止効果の解明(2年目):十和田市内の養豚農場で作出されたN(窒素)が少なくK(カリウム)に富む豚尿液肥を、昨年に引続き、同市内の畑作農家の長ネギ畑に散布、その肥培効果および病害抑制効果を調査した。なお長ネギ畑は昨年までゴボウ畑であり連作畑ではなく輪作畑である。供試畑には慣行区(10a)と散布区(10a)それぞれ2区、計4区を設定した。両区ともに例年通りの堆肥・化学肥料・農薬を散布した。加えて散布区では豚尿液肥を200L/10a散布した。長ネギの収量は茎径の大きさを評価基準として、散布区で3Lが100%、慣行区では2Lが60~70%をそれぞれ占めた。豚尿液肥による肥大効果が再確認できた。その要因として豚尿液肥のKの効能が示唆された。なお萎凋病などの病害は両区とも認められなかった。またその原因である糸状菌(Fusarium)も両区の土壌から検出されなかった。病害抑制効果は豚尿液肥や農薬より輪作の影響が大きい。 (2)家畜糞を菌床に用いたキノコ栽培の実用化:家畜糞(牛・豚・鶏・馬・ヤギ)を菌床に用いた食用キノコの栽培を試みた。新鮮な家畜糞を滅菌、乾燥、粉末にしたものに乾燥・裁断した牧草を重量比10%加え混合した菌床を作製した。これに種菌(ヒラタケ・シイタケ)を添加、菌床の水分・温度・湿度を調節して培養したところ鶏糞を除く家畜糞からヒラタケの子実体を得た。しかしシイタケは鶏糞を除き菌糸の発達が認められたものの子実体を得ることができなかった。鶏糞の失敗は糞中の尿素(アンモニア)残留が原因と推定した。
|