2009 Fiscal Year Annual Research Report
紫外LED励起による多点植物蛍光スペクトル計測に基づく植物生育診断
Project/Area Number |
21580318
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
福地 健一 Kisarazu National College of Technology, 基礎学系, 教授 (00218942)
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Keywords | 植物診断 / 蛍光計測 / ストレス影響評価 / 紫外LED / 多点スペクトル計測 |
Research Abstract |
本研究は,従来の紫外レーザーの替わりに紫外LEDを励起光源として植物葉蛍光を取得し,植物生育診断を行う手法を確立することを目的としている。市販されている紫外LEDの諸特性(発光スペクトル,照度分布,温度特性等)を計測し,シミュレーターによって素子の最適配置を求めてからLED面光源(発光ピーク波長375nm)の試作を行った。試作した光源を用いて植物葉蛍光の計測を行ったところ,同一波長のレーザー励起の場合と比較して相対的にクロロフィル蛍光(F685及びF740)が弱く観察されることが分かった。この原因を調査する為,我々が開発したISA(Imaging Spectrogram Analysis)装置を用いて,クロマツ針葉の蛍光葉内分布を測定した結果,葉の下部と中部では蛍光葉内分布が大きく異なることが明らかとなった。葉の中部では,表皮細胞内でF600とF530が同程度の強度で観察され,柵状組織内ではクロロフィル蛍光が僅かしか見られなかったが,葉の下部では表皮細胞内のF600が極めて小さくなり,柵状組織内ではクロロフィル蛍光が大きく観察された。これらのことから,表皮の状態が植物葉の蛍光スペクトル分布に大きく影響し,発達した表皮では表皮細胞内に多く含まれるUV吸収色素によって励起光が吸収されてしまいクロロフィルを多く含む柵状組織まで到達しにくいため,クロロフィル蛍光が僅かしか観察されなかったものと推測される。従って,従来のレーザーに対して照射強度が100分の1以下であるLEDを用いて植物葉蛍光を計測する場合,より柵状組織に到達しやすい波長を選択することが求められ,その為に葉に入射した光の葉内透過特性(波長依存)を詳しく調査することが必要であることが分かった。
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Research Products
(1 results)