2011 Fiscal Year Annual Research Report
ライグラス類野生化集団の高精度分布調査とエンドファイトによる生態影響の解析
Project/Area Number |
21580326
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
澤田 均 静岡大学, 農学部, 教授 (10183831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 雅幸 静岡大学, 農学部, 教授 (30252167)
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Keywords | 外来植物 / 牧草 / 生態学 / エンドファイト |
Research Abstract |
1.外来牧草の有害雑草化リスクを低減しつつ、適切に栽培・利用するには、その侵入状況を精査・把握することが不可欠である。そこで、ライグラス類をモデル植物として、高精度分布調査法の開発およびエンドファイト感染の分布状況の調査を行った。 2.静岡県安倍川を調査地に定め、GPSを活用して丸石河原に侵入したライグラス類野生化集団(個体数が5個体以上のもの)の分布位置と集団サイズを記録した。記録した集団の総数は300余りで、草高および個体間距離のような集団の属性も合わせて評価した。一方、ライグラス類の生育状況とエンドファイト感染状況、垂直伝播効率の関係を調べるために、分布調査データに基づいて生育状況に大差のある集団を選抜し、個体ごとに草丈、穂数を測定した。さらにエンドファイト調査用に種子を採取・精製した。以上のように、ライグラス類の生育状況とエンドファイト感染状況の情報入手も含めて、高精度分布調査を実践し、同調査法の問題点の抽出と改良に努めた。 3.ライグラス類野生化集団のエンドファイト垂直伝播効率を調べたところ、比較的低い数値を示す個体が確認された。その原因を究明するために、夏期にしばしば遭遇すると想定される高温・冠水を模した処理を、ライグラス類種子に施した。これらの種子を発芽させてポットに移植し、垂直伝播効率測定用の材料を養成した。 4.安倍川の河川敷にライグラス類種子を塗布した種子カードを設置し、コオロギ類やゴミムシ類のような無脊椎動物のみが捕食できる条件と、脊椎動物と無脊椎動物の両方が捕食できる条件にて、種子消失率を調べた。丸石河原ではそれぞれ4%と29%、高水敷では11%と57%であった。一方、エンドファイト感染種子と非感染種子の消失率を比較したところ、有意差はなく、同程度であった。 5.前年度に引き続き、エンドファイトおよび生態リスク研究分野の最新情報を収集・整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
静岡県安倍川の河川敷に侵入したライグラス類野生化集団を対象にして、分布状況を調査した。精密かつ迅速に調査できるようにするために、分布調査法の改良に努めた。さらにエンドファイト感染ライグラス類の分布状況、種子食昆虫への影響について、おおむね順調に研究を進めている。一方、研究分担者と共同で、関連分野の最新情報の収集・整理を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、河川敷に侵入したライグラス類野生化集団だけでなく、農地周辺や保全優先地のようなハビタットにおける侵入・拡散状況を把握できるように、汎用性の高い分布調査法の確立を目指す計画である。一方、エンドファイト垂直伝播効率に影響しうる要因について、今年度に処理した個体を用いて解析を進める計画である。さらにエンドファイト感染ライグラス類の種子を用いて、種子食昆虫を用いた室内実験および野外実験を行う計画である。平成24年度が最終年度のため、ここまで得られた研究成果を取りまとめる。
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Research Products
(2 results)