2011 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物の胎盤を介した植物エストロゲンの作用機序の解明
Project/Area Number |
21580328
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久米 新一 京都大学, 農学研究科, 教授 (90355454)
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Keywords | 植物エストロゲン / 新生仔マウス / 胎盤 / 哺乳動物 / 腸管免疫 / カルシウム代謝 |
Research Abstract |
マメ科牧草は家畜に不妊などの害をもたらす植物エストロゲンを多量含有しているが、植物エストロゲンは母体の胎盤を介して新生児の健康状態を改善することも期待できる。そこで、本研究では家畜のモデル動物として妊娠マウスを用いて、植物エストロゲンの一つであるクメステロールを妊娠期と泌乳期に経口投与(200μg/kg/日)し、妊娠マウスとその新生仔マウスの腸管免疫における植物エストロゲンの作用機序について調べた。その結果、クメステロール投与によって母体の乳腺におけるIgA産生細胞数、IgAとVCAM-1のmRNA発現量および血清IgA濃度が増加したが、新生仔マウスの血清、胃内容物、小腸および糞中のIgA濃度は影響されなかったことを見いだした。これらの結果は、クメステロールによるIgA産生効果を初めて証明したこと、またその作用機序はホーミングリガンドであるVCAM-1の活性化によって生じることを明らかにしたことに意義がある。また、植物エストロゲンと同様な作用を有するビスフェノールAを妊娠マウスに経口投与(2mgまたは20mg/kg/日)し、妊娠マウスのカルシウム代謝に及ぼすビスフェノールAの影響について調べた。その結果、20mgのビスフェノールA投与で妊娠マウスの血清カルシウム濃度が低下しただけでなく、腎臓のカルシウム結合タンパク質(CaBP-9k)およびビタミンD合成酵素(CYP27B1)のmRNA発現量の低下と、腸の傍細胞輸送を制御するオクルディンおよびJAM-AのmRNA発現量の低下を見いだした。これらの結果は、ビスフェノールAによるカルシウム代謝の阻害作用を見いだしたこと、また傍細胞輸送によるカルシウム吸収量の低下がその一因であることを明らかにしたことに意義がある。
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Research Products
(4 results)