2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580334
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
向井 孝夫 北里大学, 獣医学部, 教授 (20229917)
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Keywords | 乳酸菌 / 付着 / フィブロネクチン / 表層タンパク質 |
Research Abstract |
最近、問題化している腸管感染症は経口的に感染し、その予防は衛生対策を施す以外、確実な手段がなく、感染症予防対策は、医学領域にとどまらず幅広い領域で求められている。本研究では、申請者がin vitroで明らかにしてきた乳酸菌のCampylobacter jejuniおよびHelicobacter pylori(ピロリ菌)に対する感染阻止効果を取り上げ、その分子メカニズムを明らかにするとともに、in vivoでの効果を検討することを目的とする。 H21年度までにL.reuteriの産生するピロリ菌感染阻止因子(硫酸化ガラクトース結合タンパク質)の精製を試み、遺伝子レベルでの同定を試みてきた。その結果、ピロリ菌感染阻止因子は、驚くべきことに翻訳伸長因子であるEf-tuであることが示唆された。一方、L.gasseriが産生するC,jejuniの腸上皮やフィプロネクチンへの接着抑制因子の解析を進めたところ、L.reuteri同様にEf-tuがその付着に関与していることが示唆されたことに加え、細胞表層タンパク質であるAggregation-promoting factor(APF)の付着への関与が示唆された。また、両菌種のEf-TはpH依存的に細胞外へ分泌されることおよび細胞へ付着することがが明らかにされた。さらに、H22年度には、L.reuteriのEf-Tuが確実に硫酸化ガラクトースや細胞への付着に関与していることを明らかにするとともに、L.gasseriとL.reuteriのC.jejuniへのin viro感染阻止効果を解明してきた。その中で、L.reuteriのEf-TuがC.jejuniの感染阻止において重要な役割を果たしていることが示唆されたきた。H23年度は、L.gasseriのフィプロネクチンへの結合機構を解析することとした。 L.gasseriの特定の株を解析したところ、S-layerと類似した特徴をもつ2種類のAPF)が発現されており、Fnへの付着に関与していることが示唆された。高い相同配列を持つ2種類のAPFのFnに対する付着への寄与について詳細を明らかにするため、それぞれのAPF欠損株を作製してFnへの付着性を調べたところ、apf1欠損株のFnへの付着性は野生株と比較し有意に低下したが(p<0.01)、apf2欠損株とapf1相補株は付着性を維持した。以上から、APF1がFnへの付着に大きく関与していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)