2010 Fiscal Year Annual Research Report
草原生態系の炭素動態長期モニタリング-炭素シンク/ソースメカニズムの解明-
Project/Area Number |
21580335
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
関川 清広 玉川大学, 農学部, 准教授 (40226642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 義隆 玉川大学, 農学部, 教授 (90384718)
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Keywords | 生物圏現象 / モニタリング / 草原生態系 / 炭素動態 |
Research Abstract |
生態系の炭素貯留能(CO_2固定能)は生態系タイプによって異なり,地域や気象要因によってさまざまに変動する点で,その評価の不確実性が高い。地球温暖化問題に関して京都議定書では,CO_2放出量削減策の対象として森林生態系のCO_2固定能に着目してきたが,ポスト京都議定書,すなわち将来の温室効果ガス削減策を考慮するにあたっては,非森林生態系の炭素貯留能を解明することが世界的に緊急性の高い研究課題になると予想される。草原の炭素貯留能は年によって異なり(Yazakiら2004),気象要因の年々変動によって,炭素貯留能がシンクにもソースにも変動する可能性がある(関川未発表)。本研究は,半自然ススキ草原(長野県菅平高原)を対象として,炭素貯留に対する環境要因の作用メカニズムを明らかにすることを目的とする。昨年度に引き続き,草原植物の生育期間中,以下の項目について毎月1回数日間の測定,ないし連続的に自動モニタリングを行った。測定項目は,全天画像解析による地上部葉群の成長(CO2吸収),通気式-赤外線分析法による土壌からのCO2放出,および地温・土壌水分・土壌CO2濃度などの土壌環境要因である。また採取した土壌を用い,微生物組成や土壌の物理化学性(ガス拡散特性,CN分析など)について分析を進めている。これらの結果に基づいて上記草原の炭素貯留パターンに対する,とくに冬期から草原植物の成育開始期の降雪・降水による土壌水分と日射量などの影響を解析中である。年度途中で一部機器に不具合を生じたので修理し,また一部は交換して,次年度の研究を継続する予定である。
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