2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性チーズ創製の基盤研究ーチーズの抗酸化成分の検索とその構造ならびに生物活性ー
Project/Area Number |
21580337
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
井越 敬司 東海大学, 農学部, 教授 (80148973)
|
Keywords | ブルーチーズ / 抗酸化 / ペプチド / Pen.roqueforti / アスパラギン酸プロテアーゼ / DPPHラジカル消去活性 / 機能性チーズ |
Research Abstract |
本研究は生活習慣病予防や病態の軽減に有効な機能性チーズ創製を最終目標としている研究である。本年度は、ブルーチーズから見出したIH、GIH、DKHY、PGPIH、DKIHPおよびFQ_pS(フォスホセリン)EEの抗酸化ペプチドの抗酸化能およびこれらペプチドの生成に関与するプロテアーゼについて調べた。また、ブルーチーズからDPPHラジカル消去活性を指標に新たな活性成分を検索した。その結果、 1、βカロテン退色法ではいずれのペプチドも合成抗酸化剤のBHTやカルノシンより高く、DKHY>IH>GIH>PGPIH>DKIHPであった。この結果はロダン鉄法で測定した結果も同様であった。 2. DPPHラジカル消去活性およびスーパーオキシドラジカル消去活性はいずれのペプチドにおいても低かった。 3. ウサギ赤血球膜ゴーストを用いた脂質過酸化抑制効果を調べた結果、IH、GIHおよびDKHYにおいて同抑制効果が認められ、IHおよびGIHの脂質過酸化抑制効果はカルノシンよりも高いことが知られた。 4. 抗酸化ペプチド生成に関わるプロテアーゼをPenicillium roquefortiより検索した。その結果、ブルーチーズに存在するプロテアーゼと一致する酵素をPenicillium roquefortiの酸性培養により見出した。本酵素は培地が中性では産生されず、酸性側培地のみで生成した。本酵素の至適pHは5.5、至適温度は50℃のアスパラギン酸プロテアーゼであった。カゼインに作用させた結果、抗酸化ペプチドを生成した。 5. 新たな抗酸化成分をブルーチーズより検索した結果、昨年度見出した尿酸とは異なる低分子抗酸化成分を見出した。 6. 以上の結果、機能性チーズ創製にPen.roquefortiの酵素を利用するにはPen.roquefortiの培養条件が重要であることが知られた。
|