2010 Fiscal Year Annual Research Report
排卵時卵胞における糖質コルチコイドの生理的役割の解明
Project/Area Number |
21580357
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
手塚 雅文 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (40311526)
|
Keywords | 生理学 / 細胞・組織 / 酵素 |
Research Abstract |
糖質コルチコイド(GC)の活性化/非活性化を仲介する11β-HSD type1 (11HSD1)/11β-HSD.type2 (11HSD2)、およびGCレセプター(GR)の発現とGC代謝について調べた。 ・FSHによる21hの卵母細胞の成熟(IVM)は卵丘細胞における11HSD1 mRNA発現を対象区に比べ100倍近く増加させた。FSH処置は11HSD2とGRの発現を5-10倍増加させたが、両者の発現は11HSD1に比較して非常に低かった。 ・膨化した卵丘中に点在する卵丘細胞の細胞質で11HSD1タンパクの発現が確認された。 ・FSH処置により卵丘卵母細胞複合体(COC)の11HSD1リダクターゼ活性の上昇が認められた。 ・ラット顆粒層細胞で11HSD1発現を増加させる事が報告されているIL-1βはウシCOCでこれら因子の発現に影響を与えなかった。 培養液中へのGCが卵母細胞の成熟やCOCの炎症性遺伝子発現に与える影響を調べた。 ・生理的濃度のGC(1-100nM)は卵母細胞の核成熟に影響を与えなかった。 ・FSH処置によりCOCのPGE2合成酵素(i.e., cPLA, COX-2, PTGES)やHAS2の発現が増加したが、GCはこれらの因子の発現に影響を与えなかった。 ・排卵に関与する主要なサイトカインであるIL-1βやケモカイン1L-8はウシCOCではほとんど発現が認められなかった。しかしCOCにはIL-1の機能的受容体が存在し、卵丘膨化を引き起すこと無く卵母細胞の核成熟を促進した。 以上の事から排卵に向かうCOCでは11HSD1によるGCの活性化が亢進するが、卵母細胞の成熟や卵丘膨化に重要な役割を果たすPGE2やIL、HAS2の生産には影響を与えない事が示唆された。この結果からGCがCOC以外をターゲットに働く可能性が示唆された。
|