2011 Fiscal Year Annual Research Report
現象と発現の両解析法によって解明する家畜・家禽の味覚受容機構
Project/Area Number |
21580363
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田畑 正志 九州大学, 農学研究院, 教授 (40145503)
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Keywords | ニワトリ / 単離味蕾 / 味覚受容体 / ガストデューシン |
Research Abstract |
研究最終年度の目的は、ニワトリ味蕾単離法の確立と、カルシウムイメージング法を用いた味物質に対する応答反応の解明であった。ニワトリの口蓋上皮下にコラゲナーゼ、ディスパーゼ、トリプシンインヒビッター含有のタイロード液を注入後、実体顕微鏡下に上皮層を剥離した。先端部を100μm程に細くしたガラスピペットで味蕾と思われる組織塊を吸引後、ガラスシャーレに移した。まずこの組織塊が味蕾であることを証明する必要がある。そこで、昨年度作成に成功したニワトリ味蕾特異的G-タンパク質のガストデューシン抗体を用いて蛍光免疫染色を施した。するとこの組織塊は明瞭な蛍光像を示し、味蕾であることが明らかになり、本単離法によってニワトリ味蕾を選択的に採取し、培養することが可能であると証明された。そこで、この単離味蕾を用いて、カルシウムイメージング法を用いて味物質への応答反応実験に移行することとしした。研究代表者は平成21年度末に概算要求項目"設備整備費補助金"を獲得し、共焦点レーザー走査顕微鏡(Nikon A1Rsi)の導入を行った。この設置およびテスト稼働、操作手順の受講と操作への馴化に1年間を要し、実際に味蕾へのイメージング法を適用開始は本年度となった。単離味蕾をガラスボトムシャーレに静置しカルシウム蛍光指示薬Fruo-4AM処理し、Nikon A1Rsiレーザー顕微鏡観察下に、5% CO_2、37℃環境下および培養液を毎分1mlの速度で還流した。苦味物質塩酸キニーネを還流液に加えて観察すると味蕾のある特定の細胞群がカルシウムイオン濃度上昇応答を示した。別な細胞群はこの苦味物質に対して何ら応答を示さなかった。すなわち、ニワトリ味細胞は苦味に応答する細胞とそれには応答しない細胞が存在することが明らかになった。このことは、哺乳類味細胞と同一であり、鳥類であるニワトリも味覚受容機構は哺乳類と類似していることを示唆する結果である。
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Research Products
(2 results)