2009 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜に発現するEphBの生理的機能と胃潰瘍予防・胃癌診断のシーズとしての評価
Project/Area Number |
21580367
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小川 和重 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (60231221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 崇之 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (30333644)
石井 万幾 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (50415535)
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Keywords | Eph / ephrin / 胃粘膜上皮 / 胃潰瘍 / 胃癌 |
Research Abstract |
本年度の計画は,EphBノックダウンベクターの作製,胃潰瘍・胃癌モデルラットの作山と発現解析であった。研究成果を以下に記載する。 1. shRNAベクター: マウスのEphB2, EphB3, EphB4をノックダウンさせるshRNA発現プラスミド(各3種類以上)と野生型(wt)の発現プラスミドを作製した。効果はcos細胞(EphB非発現)にwtEphBとshRNA発現プラスミドを導入して検証し,各サブクラスで効果的にノックダウンさせるshRNA発現プラスミドを得た。現在,プラスミドからshRNA発現レンチウイルスに組換え中で,また,ephrin-B1のshRNAプラスミドの作製に着手した。 2. 胃潰瘍モデル:水浸拘束と塩酸エタノール経口投与で胃潰瘍ラットの作出を試みた結果,後者が高頻度で再現性高く粘膜損傷を起こした。このモデルで再生中の粘膜上皮におけるEphB/ephrin-B発現を検討し,正常群と比べEphB2発現が有意に上昇すること,正常群の増殖細胞(Ki67陽性)はephrin-B1のみを発現するが,再生上皮ではEphB2とEphB3が新たに発現するため,増殖領域(峡)のEphB/ephrin-Bシグナルは増強していることが判明した。胃の無腺部と噴門部の境界部粘膜上皮にEphBとephrin-Bの発現境界が存在することも発見した。 3. 胃癌モデル: MNNGの経口投与で胃癌ラットの作出を試みたが,胃底・胃体部の腺癌の出現頻度は著しく低く,且つ,顕微鏡下で判別できる異常(峡とは異なる)増殖領域の出現に留まった。このKi67陽性領域の粘膜上皮は,EphB2, EphB3, EphB4およびephrin-B1を共発現していた。胃癌株細胞の発現解析では,株によりサブクラスの発現パターンは異なるがEphBとephrin-Bを共発現していたため,この共発現の固定化が胃癌の特徴であると推察された。
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