2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスの異種間伝播による感染拡大要因の解明とその制御
Project/Area Number |
21580374
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
前田 健 Yamaguchi University, 農学部, 教授 (90284273)
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Keywords | イヌジステンパー / ネコ / 希少動物 / 野生動物 / 感染実験 |
Research Abstract |
1) 高知県においては2005-2006年以降持続的に野生動物におけるCDVが発生していたが、2009年においてはその発生数が急増する傾向が見られた。すなわち「CDVの4年毎の流行」が野生動物にも認められた可能性が高い。 2) 野生動物問でCDVの流行が2007年に認められた和歌山県の飼育ネコのCDV抗体保有状況を調べた結果、31頭中6頭(19%)がCDV抗体を保有していた。野生動物からのネコ科動物および飼育動物へのCDV感染の可能性が示唆された。しかし、この地域周辺でのイヌでのCDVの流行は報告されていない。 3) 2009年末山口県でタヌキでのCDVの流行があり、タヌキからのウイルスの分離に成功した。さらにタヌキでのCDV発生に引き続き動物園で飼育されているネコ科の希少動物がCDVにより死亡した。この希少動物からのCDVの分離にも成功した。タヌキと希少動物から分離したウイルスのH遺伝子の塩基配列を比較した結果、両ウイルスとも典型的なAsia 1型のウイルスであった。また、両ウイルス間では1821塩基中2塩基(0.1%)だけの違いであることから、同一株の流行であると考えられた。すなわち、野生動物から動物園飼育動物への感染が示唆された。希少動物へのCDV予防対策が必要である。 4) これまでのAsia 1型のウイルスの中では最も変異が進んでいると思われた2008年に高知県のハクビシンより分離されたKochi01A株の全塩基配列15690塩基を決定した。F遺伝子の5'末端領域が他の株とは大きく異なっていた。 5) Kochi01A株をイヌに実験感染した結果、二峰性の発熱、C反応性蛋白の上昇、リンパ球の減少など典型的なCDV感染症を呈し、これらの症状を指標とすることによりイヌにおける感染実験が可能となった。
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Research Products
(7 results)