2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスの異種間伝播による感染拡大要因の解明とその制御
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21580374
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
前田 健 山口大学, 農学部, 教授 (90284273)
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Keywords | イヌジステンパー / 大型ネコ科動物 / サル / 感染実験 |
Research Abstract |
1)山口県における2009年末からのタヌキのCDVの多発とその地域の動物園で飼育されているトラ12頭でのCDVの発症を調査した結果、同一施設で飼育されているトラ17頭中12頭でCDVの発症が起き、3頭が死亡したことが推測された。この結果、感染率は71%以上、致死率は25%であることが判明した。トラに致死を引き起こしたウイルスは一般に言われている野生動物型のCDVではなくイヌ由来のCDVがタヌキに感染し、その後トラに感染したことが示された。更にその動物園のライオン3頭中1頭がCDV感染歴があり、山口県で捕獲されたツキノワグマにも1頭陽性個体がいた。このことは、今回のCDVの流行によりこの地域の多くの野生動物と動物園飼育動物が感染したことが示された。 2)サルに致死的な流行を引き起こしたCDVをイヌに実験感染した結果、全てのイヌで重篤なCDVを発症した。7頭中1頭は致死的であった。重度なリンパ球の減少、下痢も認められ、炎症マーカーであるCRPの上昇も観察された。このことはサルから分離されたCDVはイヌ由来であることが再確認された。 3)2007年にCDVの流行が認められた和歌山県でのその後のCDVの感染をアライグマの抗体保有率を指標に調査した結果、流行期の2007-2008年には50%以上の陽性率が認められたのに対して2009-2010年では10%代にまで抗体陽性率が減少していた。また、抗体価も低くなっている傾向が認められた。今後のCDVの再流行が危惧された。
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Research Products
(4 results)