2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブタの夏季不妊症を引き起こす精子の受精機能不全に対する臨床的治療法の開発
Project/Area Number |
21580389
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
村瀬 哲磨 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (30303514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原山 洋 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (30281140)
三宅 正史 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環, 教授 (60093316)
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Keywords | ブタ / 夏季不妊 / 精子 / 受精 / 先体反応 / ハイパーアクチベーション / 希釈液 / シクロオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
1.口蹄疫の国内発生により採材が不能となった期間が約5ヶ月間あったため,特に研究の対象として重要な夏季における精液サンプルの採取が不可能であった. 2.電解質を含まない精漿を得る目的で,ゲル濾過後のブタ精漿の性状を調べた結果,分画の最後の部分で少量の電解質が溶出することが判明した.精液の希釈液に添加し,精漿が持つ膜保護作用を利用した精子の保存性を高める可能性を検討している. 3.シクロオキシゲナーゼ(Cox)I阻害剤により,カルシウムイオノボアにより誘起されるブタ精子の先体反応は抑制される傾向にあったが,Cox IIの阻害剤により先体反応はむしろ増強される傾向にあった.例数が少ないため検討を継続中である. 4.比較の目的で低繁殖症ウシ精子の先体を調べる方法を検討した結果,精子のSPACA1タンパク質の含量に個体差はほとんど見られなかったが,精子先体前部に分布するチロシンリン酸化型SPACA1タンパク質は低繁殖症の個体で少なく,このタンパク質でのチロシンリン酸化を正しく行えないことが低繁殖症の一因であると推定された. 5.前年度のCTC染色における問題を解決し,CTC染色が可能となったが,今年度は夏季のサンプル採取が行えなかったため.特に次年度において夏季の受精能獲得状況を確認する予定である. 6.既存の希釈液BTS(BTS-BD),その重炭酸をHEPESに置き換えた希釈液BTS-HD,EDTAをEGTAに置き換えた希釈液(BTS-BG)および重炭酸とEDTAの両者をそれぞれEGTAとHEPESへ置換した希釈液(BTS-HG)の4種類を用いて希釈・保存したブタ精液を人工授精した結果,BTS-HDの受胎率が最も高く,次いでBTS-BGのそれが高かった.他はほぼ同程度であった.従って,重炭酸とEDTAは一方のみ添加する方が両者とも添加あるいは置換するよりも有効であることが示された.
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Research Products
(3 results)