2009 Fiscal Year Annual Research Report
イヌのアトピー性皮膚炎におけるブドウ球菌エンテロトキシンの免疫学的機能解析
Project/Area Number |
21580390
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
深田 恒夫 Gifu University, 連合獣医学研究科, 教授 (80081595)
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Keywords | 膿皮症 / S.pseudintermedius / multiplex-PCR / SECcanine |
Research Abstract |
イヌから分離されるコアグラーゼ陽性ブドウ球菌はまとめてS.intermedius group(SIG)と呼ばれている。このSIGはイヌのアトピー性皮膚炎(AD)病変部から高率に分離され、さまざまな細胞外毒素を産生する能力があることが明らかとなっている。しかしながら、これらの細胞外毒素がイヌADに対してどのように作用するかは不明である。今年度は、膿皮症から分離したSIGのS. pseudintermediusの分離同定と細胞外毒素の中のstaphylococcal enterotoxin(SE)産生株を分離した。 (1)S.pseudintermediusの分離同定と感受性試験 膿皮症イヌ皮膚病変部よりブドウ球菌を分離し、生化学的性状検査を実施して190株をSIGと判定した。6菌種を同時に同定するnuc遺伝子を標的としたmultiplex-PCRによって、SIG190株のうち、170株がS.pseudintermediusであった。これらのほとんどは抗菌薬多剤耐性菌であった。 (2)SECcanineの検出 (1)で分離同定されたS.pseudintermediusを液体培地にて培養し、逆受身ラテックス凝集反応を用いて、培養上清中のSECcanineを検出した。170株中6株からSEC産生が見られた。S.pseudintermedius170株よりゲノムDNAを抽出し、sec遺伝子を標的としたPCRを行った結果、8株で陽性を示した。さらにSECcanine成熟ペプチド配列を解読した結果、過去に報告されたSECcanine成熟ペプチド配列と100%相同性を示した。 以上より、膿皮症由来S.pseudintermediusにはSECcmineを産生する株が存在し、その配列は菌種内では高度に保存さえていることが明らかになった。
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