2011 Fiscal Year Annual Research Report
イヌのアトピー性皮膚炎におけるブドウ球菌エンテロトキシンの免疫学的機能解析
Project/Area Number |
21580390
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
深田 恒夫 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 教授 (80081595)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / rSEC_<canine> / S.psuedintermedius / ケラチノサイト / ケモカイン |
Research Abstract |
従来からstaphylococcal enterotoxin (SEs)はヒトアトピー性皮膚炎(AD)の増悪因子であることが示されているものの,イヌの皮膚疾患におけるSEsの作用に関する報告はない。ケラチノサイト(KCs)は種々の炎症性メディエーターを産生し,中でもCCL17およびCCL28はイヌAD病変部皮膚においてリンパ球の遊走に重要な役割を果たすと考えられている。 前年度に、ブドウ球菌のSEの精製し、リコンビナント蛋白(rSEC_<canine>)を得た。そのSEC_<canine>。は犬リンパ球刺激能を有するものであった。 そこで,本年度は、rSEC_<canine>。によってイヌKCs培養細胞株であるCPEKを刺激し,その後in vitroでのCPEKにおけるTNF-α,CCL17およびCCL28 mRNA発現変化を解析した。 その結果,rSEC_<canine>。添加後のCPEKにおけるTNF-α,CCL17およびCCL28 mRNA転写はいずれも有意に増強されることが明らかとなった。SEC_<canine>,は炎症性サイトカインであるTNF-αだけでなく,ADの病態に重要なケモカインであるCCL17およびCCL28の産生誘導因子であることが示唆された。 本研究は、Staphylococcus psuedintermedius (SP)から産生されるSEC_<canine>。はKCsに作用してTNF-α,CCL17およびCCL28 mRNA転写誘導作用を示すことによってADを含む皮膚疾患の悪化要因となる可能性が示された。 したがって、SPによる膿皮症のみならずADの治療においても適切な抗菌薬によるSP感染のコントロールがこれまで以上に重要であることを明らかにした。
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