2010 Fiscal Year Annual Research Report
難治性病態における急性期蛋白糖鎖応答のダイナミズムと糖鎖機能改変モデルの構築
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21580392
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岩田 祐之 山口大学, 農学部, 教授 (40193750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 健 山口大学, 農学部, 教授 (90284273)
加藤 大智 山口大学, 農学部, 准教授 (00346579)
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Keywords | 急性期糖蛋白 / α1酸性糖蛋白 / モノクローナル抗体 / 糖鎖修飾 |
Research Abstract |
難治性病態における急性期蛋白糖鎖応答のダイナミズムの解明と糖鎖機能改変モデルの構築を目的に,急性期糖蛋白のモデルとして動物α1酸性糖蛋白(AGP)について,本年度は,(1)臨床応用を目的にウシおよびネコのAGPの蛋白発現および実験動物モデルとしてマウスAGPの蛋白発現,(2)マウスAGPに対するモノクローナル抗体の作製を実施し,ネコについては症例血清の収集を併せて実施した. (1)AGP蛋白発現 (1)ウシ(黒毛和種)の肝細胞のtotala-RNAから,RT-PCR法により遺伝子増幅を行い,ウシAGP遺伝子のcDNAを得た.ウシAGP遺伝子の翻訳領域は609塩基からなり,一部に品種の違いと考えられる変異が認められたが,既知のデータとほぼ一致しており,5つのN-glycosylation-siteを有していた. ウシcDNAを大腸菌発現系にて蛋白発現を試みたところ,約40kDaの融合蛋白として発現し,タグ蛋白除去後は約24kDaの蛋白が見られた.血清から精製したAGPは約40kDaであり,約40%の糖鎖を有していることが明らかとなった.得られた蛋白は抗体作製及び定量系での標準蛋白として利用可能であることが示された. (2)ネコ(雑種)AGPのcDNAは603塩基でウシ同様5つのN-glycosylation-siteを有していた.このcDNAを用いて大腸菌発現系にて蛋白発現を試みたところ,約40kDaの融合蛋白が得られた.尚,現在タグ蛋白除去・精製を行っている. (3)マウスAGP遺伝子のcDNAの全翻訳領域は621塩基であり,部分的に系統差と考えられる変異がみられたが,Balb/cとほぼ一致していた.また,5つのN-glycosylation-siteを有していた.これを用いてin-vitroでの蛋白発現を試みたところ,可溶性画分に約37kDaの融合蛋白が観察された.これらの蛋白をタグ蛋白除去・精製し,マウスAGPと考えられる約22kDaの蛋白が得られた.これを用いてモノクローナル抗体の作製を行った. (2)マウスAGPに対するモノクローナル抗体の作製 精製されたマウスAGPを用いて常法によりモノクローナル抗体の作製を試みた.その結果,5クローンのマウスAGP抗体陽性ハイブリドーマが得られた.MAbの免疫グロブリンのクラスはIgG2aが2クローン、IgG2bが1クローン、2クローンがIgAであり,L鎖のタイプはいずれもκ鎖であった.次に得られたモノクローナル抗体を用いてimmunoblot解析を行なったところ、5クローンのうち3クローンが、大腸菌で発現させたマウスAGPを特異的に認識することが明らかとなった。このことから、今回得られた3クローンのモノクローナル抗体はマウスAGPの一次構造を認識するが、残り2クローンはその立体構造を認識する可能性が考えられた。さらに,異なるエピトープを認識するかどうかをAdditive-ELISAを用いて解析した。その結果、2クローンが異なるエピトープを認識する可能性が示唆された。 その他,難治性疾患(リーシュマニア症・日本脳炎など)における疫学・病態に関する基礎的知見も得た
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Research Products
(3 results)