2010 Fiscal Year Annual Research Report
牛複合性呼吸器疾患の画像および分子生物学的病態評価と高張食塩液治療の確立
Project/Area Number |
21580393
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
鈴木 一由 酪農学園大学, 獣医学部, 准教授 (30339296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 豪紀 酪農学園大学, 獣医学部, 准教授 (00305905)
安藤 貴朗 酪農学園大学, 獣医学部, 講師 (40406898)
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Keywords | 牛 / 気管支鏡 / 高張食塩液 / 呼吸器疾患 / 肺炎起因菌 / 肺胞洗浄液 / 微量元素 / アミノ酸 |
Research Abstract |
子牛の複合性呼吸器疾患は経済的損失が大きく、適切な治療プログラムの構築が望まれている。本研究では、本学動物病院に来院した呼吸器疾患ウシの血清、鼻汁、咽喉頭ぬぐい液および気管支肺胞洗浄液(BALF)を用いてウシの複合性呼吸器疾患の病態解明を行うとともに、高張食塩液による呼吸改善効果が著効を示す子牛側因子を解析する。平成22年度は、マイコプラズマ性肺炎子牛20頭、マイコプラズマ陰性健常子牛19頭から胸部超音波およびレントゲン画像、血清およびBALFを得た。これらの検体を用いてBALF中微量元素測定を実施した。また野外調査用データおよびサンプルを得た。 (1) 呼吸器疾患子牛のBALF中微量元素濃度の比較 我々は呼吸器疾患ではZnを骨格としたMatrix Metalloproteaseが増加するため、犬において肺胞分泌液中のZn濃度が上昇することを報告した(Suzuki K, et al., Biol. Trace. Elem. Res.124:92-96.2008)。前述のマイコプラズマ性肺炎子牛および健常牛のBALF中微量元素濃度を岩手医科大学サイクロトロンセンターにおいて粒子励起X線分析法(PIXE : Particle Induce X-ray Emission)により測定した。その結果、BALF中Zn濃度は健常子牛の0.074±0.047μg/mLに対してマイコプラズマ性肺炎子牛では0.366±0.166μg/mLと有意に高値を示した(p<0.001)。また、炎症に伴いCa、KおよびZn/CuもZnと同様にマイコプラズマ性肺炎子牛で有意に上昇することを確認した。 (2) 子牛の下痢症において高張食塩液が著効を示す子牛側因子の解析 子牛疾病(下痢症および呼吸器疾患)において、高張食塩液による体液補充および呼吸機能改善効果により著効を示す子牛の因子解析(野外調査・レトロスペクティブスタディ)を行うため、長野県農業共済組合より高張食塩液療法を行った49頭の臨床記録簿および血液サンプルを入手した。平成23年度に当該動物の血液および血清学的検査を行うとともに、統計学的に高張食塩液が著効を示す子牛側因子の解析を実施する。
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Research Products
(1 results)