2011 Fiscal Year Annual Research Report
牛複合性呼吸器疾患の画像および分子生物学的病態評価と高張食塩液治療の確立
Project/Area Number |
21580393
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
鈴木 一由 酪農学園大学, 獣医学部, 准教授 (30339296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 豪紀 酪農学園大学, 獣医学部, 准教授 (00305905)
安藤 貴朗 酪農学園大学, 獣医学部, 講師 (40406898)
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Keywords | 牛 / 気管支鏡 / 高張食塩液 / 呼吸器疾患 / 肺炎起因菌 / エンドトキシン / Mycoplasma |
Research Abstract |
LPS投与による肺水腫モデルおよび血清中エンドトキシン活性値評価方法の確立 オハイオ州立大学獣医学部生産動物医療研究室においてLPS投与による安定した血液量減少(20%の循環血液量減少)および肺水腫モデルが確立されている。23年度はオハイオ州立大学において当該モデル作製技術を習得するとともに、同大学において血中ハプトグロブリン結合Matrix Metallo proteinase-9を指標とした炎症マーカの評価および米国サウスキャロライナ州のチャールズリバー社エンドトキシン研究所において血中ゴンドトキシン活性値の測定方法を確立した。牛では緩衝物質(プロテアーゼ)の影響により通常の前処理では実用的な添加回収率が得られなかったことから、前処理方法、測定条件の検討を行った。その結果、80℃、10分の加温処理、Kinetic Turbidi metric(KTA)による測定がもっとも満足のいく方法であることを確認した。さらに、血清のみならず牛生乳中エンドトキシン活性値の測定条件についても同様に確立した。本方法を用いてLPSの投与方法の違いによる肺水腫モデルの血清中エンドトキシン活性値の経時的変化を検討した。その結果、エンドトキシン試薬の溶媒として自家血清を用い溶解後15~60分以内にボーラス投与すれば血清中エンドトキシン活性値が臨床症状の発現時期(30分後)をピークとし、さらにチャレンジ後12時間以上高値を維持することが確認され、再現性の高いモデルを割く出することが可能であった。なお、平成24年度にはこの病態モデルを用いてエンドトキシン活性値を指標に高張食塩液の呼吸器に及ぼす薬効薬理試験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
呼吸器疾患モデルの重症度評価に血清中エンドトキシン活性を加えることでエンドトキシン由来の炎症マーカーの評価が容易になる一方、牛由来生体試料中エンドトキシン活性値の測定方法の確立が必要となった。平成23年度はエンドトキシンモデルの確立と平衡して牛由来生体試料中エンドトキシン活性値の測定方法の確立を行ったため、高張食塩液の薬効薬理および臨床試験の開始時期が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)牛の複合性呼吸器疾患の病態生理学的調査 マイコプラズマ性肺炎子牛20頭、健常子牛(マイコプラズマ陰性)子牛19頭から血清およびBALFを採取したので、これらを用いて、MMP2、pro-MMP2、TIMP(Tissue Inhibitor of metallo protease)-2およびMMP9、proMMP9、TIMP-1の動態およびエンドトキシン活性値を評価し、呼吸器疾患の炎症病態を評価する。 2)子牛下痢症に対する高張食塩液の有効性を評価するための野外試験 長野県農業共済組合において高張食塩液による体液補充療法を必要とした49頭の水溶性下痢症子牛についてレトロスペクティブスタディを行う。
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Research Products
(3 results)