2009 Fiscal Year Annual Research Report
犬の体腔におけるリンパ流路に関する臨床解剖学的研究
Project/Area Number |
21580397
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
浅利 將男 Azabu University, 獣医学部, 教授 (90120948)
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Keywords | リンパ流 / 腹腔 / 骨盤腔 / 所属リンパ節 |
Research Abstract |
本研究は臨床解剖学的な観点から、体腔内に発生する腫瘍のリンパ行性転移の解明に焦点を絞り腹腔あるいは骨盤腔のリンパ流路を調べることを目的にしている。平成21年度ではリンパ排導路の追跡とその可視化のための技術的な検討をした。現在リンパ管造影はリンパ管を分離後の造影剤投与やリンパ節への造影剤の直接投与が行われているが、この操作煩雑で難しい。今回造影剤をそのアプローチとしてより簡便な皮下や粘膜下に投与しCTを撮影する事でより簡単なリンパ管造影方法の検討、及びIndian Ink投与によるリンパ流路解剖との比較を行った。 実験はビーグル犬を用い、全身麻酔後、前肢・後肢パッド、鼻腔粘膜、直腸粘膜、膣粘膜、肛門周囲に水溶性造影剤または油性造影剤を投与し、その後十分なマッサージの後CT撮影を行い、画像解析ソフトを用いて3D再構築を行った。その後CT撮影と同部位にIndian Inkを注入し、本学実験動物委員会にて承認された方法で殺処分し全身固定後、解剖を行った。 撮影において前肢・後肢パッド、乳腺、鼻腔粘膜、膣粘膜、直腸粘膜、肛門周囲ともに明瞭なリンパ管が描出された。またCT画像の3D再構築を行う事でより詳細で立体的にリンパ管が観察された。直腸粘膜、膣粘膜、肛門周囲からの投与においては胸管の造影に成功した。またIndian Ink投与による解剖結果は、CT画像と同様のリンパ管排導路を示していた。この方法ではまたCT得られないより詳細な胸管やリンパ管の観察に成功した。 今回の実験から血管造影剤を粘膜下、皮下に注入する事で体腔内を走るリンパ管造影が行える事が示唆された。墨汁を用いた解剖からも今回の造影結果はリンパ管と同定される。より簡便な胸管造影方法の確立は乳糜胸における胸管評価と外科的結紮部位の評価に有用であると思われる。
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Research Products
(2 results)