2011 Fiscal Year Annual Research Report
犬の体腔におけるリンパ流路に関する臨床解剖学的研究
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21580397
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
浅利 將男 麻布大学, 獣医学部, 教授 (90120948)
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Keywords | リンパ流路 / 腹腔臓器 / 所属リンパ節 / 肝臓 / 胃 |
Research Abstract |
平成23年度の研究では、胃各部からのリンパ流路を詳細に観察した結果、胃の噴門部、胃体部、幽門部のいずれの部位に墨汁を投与した場合も墨汁は必ず左右の肝リンパ節に集束し、そこから背側に腹腔動脈と並走する輸出リンパ管が走り、最終的には乳ビ槽へと合流することが明らかとなった。しかし、各投与部位から肝リンパ節に至るまでの経路は投与部位によって大きな違いを示した。またいずれの個体においても、墨汁注射部位から大きく離れた部位にあるリンパ節およびリンパ管への墨汁流入は観察されなかったため(例:噴門部に墨汁を注射した場合、幽門部付近のリンパ節および周辺のリンパ管には墨汁の流入がみられない)、それぞれのリンパ節はある程度限定された領域を支配しており、そのリンパ節に到達するまでの経路も決まっているものと思われる。次に肝臓からのリンパ流路の観察の結果、胃の場合と同様に全ての個体において左右肝リンパ節、およびそこからの輸出リンパ管に墨汁が流入しているのが観察された。また、肝臓実質内を通り、肝門から胆管と並走し肝実質外に出て、肝リンパ節へ流入するリンパ管も2個体で観察された。墨汁の投与量によるものと考えられる差異は認められなかった。 また、肝臓をはじめ腹腔内、胸腔内の諸臓器表面には漿膜下リンパ管が網目状に存在する。これらは肝臓の場合、臓器表面に起こり、実質内に入り込んでいくものや、直接肝リンパ節や大動脈腰リンパ節へ流入するものがあるが、今回の実験では実質深部に墨汁を投与したため、これらは観察されなかったと考えられる。 これらの実験により、胃および肝臓からのリンパ液は左右の肝リンパ節を経て乳ビ槽へと流入することが明らかになった。肝リンパ節への輸入リンパ管は胃、肝臓、十二指腸、膵臓から起こるとされており、今回の実験の結果はこのことを証明していた。また、各腹腔臓器から肝リンパ節までの詳細な経路や、通過するリンパ節は、ヒトの医学領域のように、詳細には明らかになっていない。本実験では肝リンパ節に到達する前に、膵左葉と胃の間にあるリンパ節、角切痕部のリンパ節、脾臓付近のリンパ節、幽門部付近のリンパ節、小湾部胃壁のリンパ節など、周囲の血管などの構造からはその名称を特定することが困難なリンパ節が多く観察され、これらのリンパ節がセンチネルリンパ節の役割を持っていると考えられる。
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