2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ燃料の持続可能性指標の構築と日本型バイオ燃料生産システムに関する研究
Project/Area Number |
21580399
|
Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
山本 充 小樽商科大学, 商学研究科, 教授 (30271737)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹木 潤 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (00339087)
増田 清敬 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (20512768)
|
Keywords | バイオマス / 持続可能性指標 / LCA分析 / 環境効率性 / 資源効率性 / マクロ環境勘定 / 最適化 |
Research Abstract |
本研究は、バイオマス由来の原料を使用したバイオ燃料の持続可能性を評価する指標の探究と、わが国における持続可能なバイオ燃料の生産システムを探究することを目的として行った。 バイオ燃料の持続可能性指標については国際バイオエネルギー・パートナーシップ(GBEP)が約4年にわたる議論を経て、2011年5月に環境・社会・経済の3本柱からなる24の指標を発表し、政府レベルでこれに合意した。GBEPの指標においては本研究の連携研究者である農林水産政策研究所の林岳主任研究官を通して指標構築に貢献してきた。GBEP指標は、途上国におけるバイオエネルギー生産が環境問題のシフトを引き起こさないこと、貧困層のQOL向上に貢献することなどにも注意が払われている。それ故にわが国では適用しにくい指標もある。また、基本的に国レベルでの指標とされているので、地域あるいは個別のバイオ燃料生産レベルでは作成が困難な指標もある。さらにはバイオ燃料原料や半製品を輸入することで生産を行う場合では貿易相手国のデータ利用可能性が高くなければ、需要側に帰属する環境責任などを明確にすることが困難であることなどが明らかになった。国内でも指標作成に必要な環境情報やLCAデータベースのさらなる充実が不可欠であると指摘できる。また、マクロ環境勘定の枠組を使用してバイオ燃料原料生産の環境効率性を評価した結果からは、農業部門では環境負荷は減少傾向にあるものの効率性は低下していることが明らかとなり、環境保全型農業への支援を充実する必要性が高いことが言及できた。これは、国内のバイオ燃料生産のLCA分析結果から、原料生産におけるエネルギー投入の効率化が不可欠であることが明確になっており、廃棄物由来のバイオ燃料や自然エネルギーを融合させた生産システムの構築がわが国では有用であると指摘できることとも整合する。また、これまでのLCAでは自然資源の賦存量に対する影響評価が不十分であること、バイオ燃料生産者や原料生産者に価格調整能力が付与されていないため、利潤最大化による分析では原料生産のインセンティブが働かないことが明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)