2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱測定による、培養できない微生物にも適用可能な、土壌生態系機能解析法の新展開
Project/Area Number |
21580400
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 晶善 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (10155111)
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Keywords | 土壌微生物 / 微生物活性 / 熱測定 / 資化熱 / 農薬 |
Research Abstract |
土壌中には膨大な数の微生物が存在し、有機物の循環に深く関わっている。しかし土壌微生物の大半が培養困難であると考えられるため、培養法を基本とする従来法はその活性の全体像をとらえることがむずかしい。本研究では、炭素化合物の資化に伴う発熱を測定することによって、土壌微生物が培養可能であると否とにかかわらず、簡便に微生物活性を測定するとともに、その結果に基づいて土壌生態系を解析する手法"熱測定バイオログ法"を開発することを目的としている。 本年度の主な成果は以下の三点である。 (1)熱電素子、ヒートシンク、循環恒温槽などを用いて、数グラム程度の土壌を対象として同時に19試料を測定可能な熱測定システムを構築した。 (2)熱測定によって得られる実験データ(サーモグラム)を成長曲線に基づいて解析する場合に、どの成長曲線を用いるのが最も適切かを検討した。ロジスティック、ヒル、ゴンペルツ、およびリチャーズの各モデルについて、約800種のサーモグラムを解析し、赤池情報量規準によって適否を判断した。その結果、リチャーズモデルを用いるのが最も適切であることを明らかにした。 (3)大学農場や演習林などから採取した各種土壌に対する農薬の影響について、グルコースを炭素源として与えた場合の資化サーモグラムに基づいて解析を行った。リチャーズモデルによる解析から、最大発熱速度定数などに与える農薬(除草剤2,4-PA)の効果を調べることにより、最小生育阻止濃度や、農薬の効果の共同性の指数などを評価した。その結果に基づいて、土壌微生物活性に与える農薬の効果を定量的・定性的に議論できることを示した。
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Research Products
(10 results)