2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱測定による、培養できない微生物にも適用可能な、土壌生態系機能解析法の新展開
Project/Area Number |
21580400
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 晶善 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (10155111)
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Keywords | 土壌微生物 / 微生物活性 / 熱測定 / 資化熱 / 微生物群落構造 / バイオログ法 / DGGE法 |
Research Abstract |
土壌中には膨大な数の微生物が存在し、有機物の循環に深く関わっている。しかし土壌微生物の大半が培養困難であると考えられるため、培養法を基本とする従来法はその活性の全体像をとらえることがむずかしい。本研究では、炭素化合物の資化に伴う発熱過程を測定することにより、培養可能であると否とにかかわらず簡便に微生物活性を測定でき、その結果に基づいて土壌の生物性を解析する手法、"熱測定バイオログ法"を開発することを目的とする。 本年度の主な成果は以下の二点である。 (1)大学農場や演習林などから採取した各種土壌に、数十種類の炭素源をそれぞれ単独で与えた場合の発熱過程を測定し、発熱が半分終了する時間や最大発熱速度定数などのパラメータを評価した。これらのパラメータの値に基づいて土壌のクラスター分析を行ったところ、畑土壌は畑土壌で、森林土壌は森林土壌でクラスターを形成するなど、土地利用形態をよく反映した結果が得られた。すなわち土地の利用形態が土壌の生物性に影響を与えること、またその影響を熱測定によって解析可能であることが示された。 (2)長年にわたって塩素系農薬を投与し続けてきた2種の土壌と、投与していない参照用土壌、計3種について検討したところ、DGGE法によっては微生物(細菌相)群落構造の差が確認できないが、熱測定法によって炭素源資化活性を指標とすると有意な差がみられことが判明した。 これらのことから、土壌生物性評価法としての"熱測定バイオログ法"の可能性が示された。
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Research Products
(7 results)