2011 Fiscal Year Annual Research Report
熱測定による、培養できない微生物にも適用可能な、土壌生態系機能解析法の新展開
Project/Area Number |
21580400
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田中 晶善 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (10155111)
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Keywords | 土壌微生物 / 微生物活性 / 熱測定 / 微生物多様性 / 資化熱 |
Research Abstract |
微生物を含む土壌に種々の炭素源を与えると、資化熱を発する。その発熱過程を直接測定することにより、代謝速度など種々のパラメータを評価できる。これらのパラメータの値は、炭素源の種類と土壌の種類に依存するので、これらの値を指標として土壌の炭素化合物代謝能を定量的に特徴づけ、評価することができる。またこれらの値は、農薬など土壌にストレスを与える物質の存在によって影響を受けるので、土壌環境評価も可能となる。本研究では、このような原理や機能に基づいて、土壌微生物の多様性や土壌生態系機能、および土壌環境を解析する手法を、装置と解析法の標準化を含めて確立し、その手法の有用性を立証することを目的としている。 本年度は当初の実施計画に基づいて研究を進め、下記の成果を得た。 (1)特定の土壌試料が多種類の炭素源を資化する過程を、可能な限り同じ条件で測定することが望ましいことから、19試料同時測定可能な熱測定システムの測定ユニットを作成・増設した。 (2)このユニットも用いて、いくつかの土壌サンプルを追加収集して熱測定を行い、発熱速度、発熱のピークまでの時間、発熱が半分終了する時間など、資化過程の基本的なパラメータについてデータ収集と解析を行った。 (3)系統分析の方法や過程を検討し、再現性よく安定した分析が可能となる手法を開発することをめざして、同一土壌での測定パラメータが、地表からの深さや季節によってどのように変動するかの検討を開始した。 (4)土壌熱測定パラメータに基づいて土壌微生物多様性を数値評価する方法を開発した。 以上のように、従来法とは原理的に異なる測定法を用いて土壌の生物性を評価する手法の開発をほぼ順調に進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画については、「土壌微生物熱測定パラメータのデータベース化に着手」を除いて達成したほか、土壌微生物多様性の評価法の検討が進んだ。遅れている項目もあるが、予定以上に進んだ内容もあるため、(2)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
全く新しい手法による土壌生物性の評価を進めていることから、測定法の標準化が必要であり、現在のところ、地表からの深さ、季節変動などがどのように影響するかなどの検討を進めている。どのような要因が解析に影響するかの検討を更に進める必要がある。これまでに得られた成果については近々に公表する準備を進めている。研究の推進に伴って新たな課題が出てくることが予想されるが、本質的な計画の変更は必要ないと考えている。
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Research Products
(1 results)