2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580402
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 与一 Kyoto University, 生存圏研究所, 准教授 (70252517)
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Keywords | バイオマス / 菌類 / 遺伝子 / 応用微生物 / 蛋白質 |
Research Abstract |
石油資源の枯渇と地球温暖化問題への対応が急がれている中で、木質系バイオマスは、トウモロコシやサトウキビなどと異なり、食糧と競合しない循環型のバイオマス資源として、その変換利用に社会的要請が高まりつつある。木材に代表されるリグノセルロースは、多糖類のまわりを難分解性のリグニンが被覆しているため、デンプンなどと異なり酵素的な糖化に先立つ前処理が必要であり、各国で効率のよい糖化を可能にする総合プロセスの開発が盛んに試みられている。担子菌類に属する白色腐朽菌は、木材中に存在する難分解性の高分子リグニンを分解する能力を持っており、その特有の酵素群を大量に調整しリグノセルロースのセルラーゼによる糖化の際に併せて用いることができれば、前処理に必要とされるエネルギーや酸などの環境負荷を大きく低減することが期待されている。これまでの研究では、酵母などの異種生物を用いて白色腐朽菌のリグニン分解酵素を発現することは困難であり、人工的にリフォールディングを行うことで酵素分子の数%が活性を示すのみであった。このことは、タンパク質の折りたたみ機構の違いが重要であることを示している。本研究は、白色腐朽菌独自のタンパク質折りたたみのメカニズムについて分子生物学的なメスを入れることを目的とする。リグニン分解酵素を大量に生産することで、木質バイオマスの効率的な酵素糖化や難分解環境汚染物質の処理など、様々な産業プロセスを開発するためのプラットフォームを確立することが期待される。初年度は、子嚢菌で報告されているタンパク質折りたたみ制御系のhacA遺伝子のホモログのクローニングを行ったが、まだ成功していない。並行して、白色腐朽菌における一過性の形質転換体の取得を試み、導入遺伝子に依存して一時的に形質が発現する実験系を見出すことに成功した。
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Research Products
(6 results)