2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580404
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
入江 俊一 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (30336721)
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Keywords | 白色腐朽菌 / カルモデュリン / 担子菌門 / リグニン分解酵素 / きのこ |
Research Abstract |
本研究では、未利用木質の有用資源への変換を行う効率的なバイオリアクター系開発を最終的な目的として、リグニン分解能を高めた白色腐朽菌の育種について研究している。具体的には、白色腐朽菌におけるリグニン分解の初発反応を担うリグニン分解酵素を制御しているシステムを解明し、育種ターゲットとしての有効性を検討する。 これまでの解析により、白色腐朽菌、Phenerochaete chrysosporiumのリグニン分解酵素遺伝子群の転写にはカルモデュリン(CaM)が関与していることが明らかとなっている。また、リグニン分解酵素発現時のcDNA断片から調製したファージディスプレイライブラリにおいて推定的CaM相互作用タンパクの検索を行った。結果としては、Ca2+イオンシグナル関連因子、転写因子、酸化ストレス応答因子などが得られた。本年度は、これらの推定的CaM相互作用タンパク質のCaM結合性を確認するため、各タンパク質遺伝子を大腸菌で発現させ、組換えタンパクを調製し、CaMとの結合性をプルダウン法にて確認した。試験に供した約半数のタンパク質がCa2+依存的なCaM結合性を示し、これらの中にリグニン分解酵素遺伝子発現に深く関与する因子が含まれていることが期待された。 次に、これらのCaM相互作用タンパク質遺伝子群をP.chrysosporiumにおいて過剰発現、または発現抑制させ、リグニン分解酵素遺伝子発現との関連性について検討することを試みた。しかし、現有のP.chrysosporium形質転換系における遺伝子導入効率は低く、また再現性も乏しいため、必要な形質転換株を得るのに手間取っている状態である。これを解決するために、効率的な遺伝子導入が可能な白色腐朽菌、ヒラタケにおいて、上記遺伝子のオーソログを検索、クローン化し、ヒラタケを宿主とした形質転換を利用した解析に切り替えていく予定である。
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