2011 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物葉緑体への蛋白質輸送における膜透過中間体の解析
Project/Area Number |
21580415
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
秋田 充 愛媛大学, 農学部, 准教授 (50335890)
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Keywords | 蛋白質膜透過 / 葉緑体 / 前駆体蛋白質 / 蛋白質間相互作用 |
Research Abstract |
本研究は、サイトゾルから葉緑体への蛋白質輸送の仕組みを輸送過程における葉緑体外・内包膜に存在する蛋白質輸送装置と輸送基質である前駆体蛋白質との分子間相互作用を通じて解明することを目的としている。研究代表者は、蛋白質輸送初期段階に、異なるエネルギーに依存して前駆体蛋白質の包膜内での到達度の異なる3種の膜透過中間体が存在すること、異なる膜透過中間体中では、部位特異的架橋実験から、前駆体蛋白質の架橋剤を導入した位置に依存して異なる架橋複合体が形成されることを明らかにしてきた。 研究期間当初、これらの架橋複合体を精製し、複合体の構成因子の同定することを最重要課題として取り組んだが、精製架橋産物の検出に難があった。そこで「架橋反応を適用しない膜透過中間体の解析」と「前駆体蛋白質に立体障害を導入することで形成が期待される後期膜透過中間体の解析」への取り組みも視野に入れ、前駆体蛋白質に付加するエピトープタグの検討を行うために種々の前駆体蛋白質を作製した。当該年度では、これらの前駆体蛋白質を用いて膜透過中間体の解析を再検討した。また、無細胞蛋白質合成系の本研究への適用もあわせて検討することで、次の4点の成果を得た。1.初期膜透過中間体を形成させた葉緑体を界面活性剤で可溶化し、膜蛋白質の分離に優れた非変性ゲル電気泳動により分離すると、前駆体蛋白質や既知因子が高分子量に観察された。2.中間体を含む可溶化葉緑体のアフィニティー精製により、新たに作製した前駆体蛋白質の中に精製に有用なタグを見出した。3.金粒子で修飾した前駆体蛋白質の蛋白質輸送が途中で停止した。4.獲得が困難な前駆体蛋白質の無細胞蛋白質合成系による翻訳に成功し、葉緑体蛋白質輸送実験へ適用した。以上の成果を個別に発展、あるいは、それぞれを組み合わせることにより、当初目標としていた前駆体蛋白質と相互作用する因子の同定を行うための基盤を再構築することができた。
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Research Products
(3 results)