2009 Fiscal Year Annual Research Report
ステロール側鎖構造が担う新規生理機能の解明を基盤とした植物機能開発
Project/Area Number |
21580418
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
太田 大策 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (10305659)
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Keywords | 代謝工学 / 植物脂質 / ストレス耐性 / ステロール / メタボロミクス |
Research Abstract |
シロイヌナズナを用い,ステロールメチル基転移酵素遺伝子とステロール側鎖不飽和化酵素A遺伝子に関するT-DNA挿入によるノックアウト系統,RNA干渉によるノックダウン系統,過剰発現系統を揃えた.これら遺伝子組換え系統では,実験意図を正確に反映した側鎖構造を持つステロール分子種を蓄積していた.これらの植物体を供試し,植物ステロール側鎖メチル基転移反応の必須性に関する研究を進めた. ステロール側鎖メチル基転移酵素遺伝子の欠損株では,生長過程の多面的局面な異常表現型を呈し,深刻なバイオマス生産力の低下とともに,生殖器官の発達不全によって種子結実に至らないことを示した.変異体における膜成分の変化をメタボロミクスによって解析し,実験意図と整合性のあるステロール組成変動を確認した.細胞膜と小胞体膜に局在するマーカータンパク質とGFPの融合タンパク質を変異体に導入し,膜構造への影響を観察した.さらに植物ホルモンであるオーキシン応答性と膜構造の変化の関連性を明らかにするため,変異体におけるオーキシン応答性を解析したところ,ステロール変異体のオーキシン輸送体の局在性異常を認めた.さらに,細胞骨格タンパク質の存在状態の異常を認めた.今後,ステロールが担う細胞生物学的な必須性に関して,総合的な討論を目指す.
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