2011 Fiscal Year Annual Research Report
ステロール側鎖構造が担う新規生理機能の解明を基盤とした植物機能開発
Project/Area Number |
21580418
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
太田 大策 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (10305659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 拓水 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (00580367)
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Keywords | 代謝工学 / 植物脂質 / ストレス耐性 / ステロール / メタボロミクス |
Research Abstract |
ステロール側鎖C24位は,SMT1による1段階目のメチル基転移反応と,SMT2とSMT3による2段階目のメチル化によって修飾される.2段階目のメチル基転移反応は植物に特異的である.シロイヌナズナのステロールメチル基転移酵素SMT2とSMT3遺伝子それぞれのT-DNA挿入系統を交配し,二重変異系統(smt2-smt3)を樹立した. 1)smt2-smt3系統はC24エチルステロール生合成能をほぼ喪失し,維管束の発達異常とともに著しい生育遅延と不稔性を示した.細胞膜と小胞体膜に局在するマーカータンパク質とGFP融合タンパク質を変異体に導入し,膜構造への影響を観察した.DR5:GUSレポーター遺伝子発現コンストラクトおよびオーキシン排出輸送体PIN2-GFP融合タンパク質を変異体に導入し,オーキシン輸送が正常に機能していないことを明らかにした. 2)smt2-smt3系統の根組織の抗チューブリン抗体による免疫染色では,細胞板形成段階で細胞分裂が停止した細胞が多数認められ,これらの細胞は分裂の極性を喪失していた.そこでアクチン結合タンパク質-GFP,チューブリン-GFP融合タンパク質をsmt2-smt3株に導入し細胞骨格系を観察したところ,C24ステロール欠損が細胞骨格形成に重大な影響を与えることを明らかにした.チューブリン-GFP融合タンパク質を発現するsmt2-smt3系統由来のプロトプラスト培養によって,小胞輸送の撹乱と細胞質分裂期での細胞分裂の停滞を明らかにした. 3)各種のレポーター発現系統解析から,C24ステロール欠損は,植物の細胞分裂に特異的な段階である細胞板形成段階に停滞と細胞分裂の極性喪失を引き起こすと推察した.オーキシン輸送の撹乱は極性を喪失した細胞分裂の結果と考えられる.
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