2009 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価ヨウ素酸化を基盤とする多機能ハイブリッド型有機触媒の創製と利用
Project/Area Number |
21590005
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
矢倉 隆之 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (70220126)
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Keywords | 超原子価ヨウ素 / 酸化 / ハイブリッド / 有機触媒 / ニトロキシルラジカル |
Research Abstract |
一つの分子に複数の異なった触媒機能を持たせ、複数の触媒反応をワンポットで行うことが可能となれば、反応の効率の向上が見込まれる。超原子価ヨウ素酸化剤を基盤として、次の2つのタイプのハイブリッド型触媒を創製する。 1) 複数の連続する反応を触媒するハイブリッド型触媒 2) 一つの反応に含まれる複数の触媒サイクルを回すハイブリッド型触媒 上記2つのタイプの反応の可能性を検討した結果,現在のところ,2)の反応の可能性を見出した。 すなわち、触媒量のニトロキシルラジカルである2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidinyloxyl(TEMPO)を用いる第1級アルコールのアルデヒドへの酸化反応について,超原子価ヨウ素を共酸化剤に用いる方法について検討した。超原子価ヨウ素それ自体が高価であるため,より安価な酸化剤をもちいて超原子価ヨウ素も触媒量でよい方法の開発を目指した。p-ニトロベンジルアルコールを基質として,触媒量のTEMPOおよびヨードベンゼン存在下での、種々の酸化剤の使用を検討した。その結果、複数の酸化剤がその可能性を示し、反応は長時間を要するものの,高収率で対応するアルデヒドを与えた。また,ヨードベンゼンが存在しないと反応が進行しないこともわかった。このことは,ヨードベンゼンが共酸化剤により酸化されて,超原子価ヨウ素へと変換された後,このものがTEMPOを酸化して,触媒的TEMPO酸化を実現したものと考えられる。 現在,より効率のよい酸化剤ならびに反応条件を検討すると共に,TEMPOとヨードベンゼンの結合したハイブリッド型の触媒の創製を検討中である。
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Research Products
(3 results)