2011 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価ヨウ素酸化を基盤とする多機能ハイブリッド型有機触媒の創製と利用
Project/Area Number |
21590005
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
矢倉 隆之 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 教授 (70220126)
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Keywords | 超原子価ヨウ素 / 酸化 / ハイブリッド / 有機触媒 / ニトロキシルラジカル |
Research Abstract |
一つの分子に複数の異なった触媒機能を持たせ、複数の触媒反応をワンポットで行うことが可能となれば、反応の効率の向上が見込まれる。超原子ヨウ素酸化剤を基盤として、次の2つのタイプのハイブリッド型触媒を創製することが本研究の目的である。 1) 複薮の連続する反応を触媒するハイブリッド型触媒 2)一つの反応に含まれる複数の触サイクルを回すハイブリッド型触媒 上記2つのタイプの反応の可能性を検討している。23は, 2)のタイプの新規触媒における触媒活性に対するリンカーの効果について検討し,本触媒中の2つの触媒部位が分子内で反応している可能性を確認するとともに,新たな固定化触媒への展開の可能性を示すことができた。 すなわち,ニトロキシルラジカルである4-hydroxy-2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidinyloxy1(4-OH-TEMPO)とP-ヨードフェノールを種々のジカルボン酸類をリンカーとして用いて連結した触媒を合成し,その触媒反応を検討した。その結果,P-ジカルボン酸置換体であるテレフタル酸をリンカーとして用いると,TEMPO部とヨードベンゼン部が距離的に遠くなることが予想され,反応が遅くなるものと思われたが,予想に反して,フタル酸を用いた結果とほぼ同じであることが分かった。しかし,リンカーに4-4'一ジカルボキシビフェニルを用いて両触媒部をより立体的に遠くすると,反応は急激に遅くなり,P-ベンゾイルオキシヨードベンゼンとTEMPOを用いた分子間触媒系を用いた場合と同様になった。このことはフタル酸を用いる触媒の反応において両触媒部が分子内で反応している可能性を示唆している。 他のリンカーを調べた結果,コハク酸を用いる場合が最も反応性が高くなった。リンカーとの結合をアミド結合にしても反応性には影響がみられなかった。2つのカルボン酸をメチレン8つの距離を持つ場合にも反応性の低下はあまり見られなかったことから,触媒の回収を容易にするため,ポリエチレングリコールをリンカーとして高分子固定化触媒への展開を検討中である。
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Research Products
(7 results)