2010 Fiscal Year Annual Research Report
特異な神経毒性を有する大環状アルカロイド、スピロライドの合成
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21590012
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石原 淳 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80250413)
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Keywords | 海産毒 / 天然物合成 / Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
スピロライドは特異な神経毒性を有する大環状アルカロイドである。本化合物はL型カルシウムチャンネルに作用することが知られているが、既存のレセプターには結合性を示さないことから、未知のレセプターと結合し毒性発現している可能性がある。従って本化合物は、新たな神経薬理学研究のツールや新規な脳神経治療薬のリード化合物となり得る。本研究の目的はスピロライドの合成法を確立し、未だに決定されていない構造を完全に決定するとともに、脳神経疾患に係わる創薬に貢献することである。前年度にスピロライド等の大環状アルカロイドに共通なアザスピロ環状骨格を構築するために、銅触媒を用いる不斉Diels-Aldef反応を検討したが、低収率に終わった。そこで、本年度は新たにδ-ラクトンを基質とするClaisen転位反応によるシクロヘキセン骨格形成を立案し、検討を行った。官能基化されたδ-ラクトンを合成し、転位反応を検討したが、現在までのところ望むシクロヘキセン骨格を有する生成物は得られていない。これと平行し、キレーション制御によるDiels-Alder反応の検討も行った。すなわち、光学活性なジオールを有するジエンを調整し、種々のα,β-不飽和ケトンとのDiels-Alder反応を行った。熱的反応の結果、ジエノフィルにアクロレインを用いた際に、収率良く環化付加反応が進行した。生成物はほぼ単一であったが、望まないendo付加体であった。キレーションが可能な二座配位可能なLewis酸を用いた反反応の検討が次年度の課題である。
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