2011 Fiscal Year Annual Research Report
ジアミン類の新合成法開発とそれを基軸としたキラル医薬品候補分子効率合成法への展開
Project/Area Number |
21590013
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石塚 忠男 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (60176203)
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Keywords | diamine / imidazolone / imidazolidinone / 不斉合成 / 不斉補助剤 / 合成子 |
Research Abstract |
2-イミダゾロンの炭素-炭素二重結合部位へのエナンチオ選択的エポキシ化反応に用いる酸化剤として過酸化水素水の代わりに、過酸化水素-尿素コンプレックスを用いて検討したところ、同様の選択性で良好な反応性を示すことが明らかになった。酸化剤の溶媒として水を用いる必要性がなくなり、長時間かけた滴下も不要となるため、反応条件の検討が行いやすくなった。また、触媒である鉄イオンと添加アミン類との相互作用の制御においても、非水条件で可能となるため新展開が期待できる。 光照射およびLi-Naphthalene条件下でのスルポニル保護基の除去については、2-Naphthalensulfonyl基が有効であることが明らかになった。トシル基と比較して、同一条件下での明かな反応性の向上が見られ、導入反応、コストを考慮してもトシル基に代わりうるものと言える。また、除去の条件としても、benzophenoneketylラジカルなど、発生容易な比較的安定なラジカルの使用可能性も見出せ、さらなる検討へと繋がった。 更なる変換のために2-イミダゾロンの二重結合部位に導入するメトキシ基について、エポキシ化反応生成物からの変換において導入効率のよいイソプロピル基で代用可能であることが明らかにできた。立体的に嵩高いt-ブトキシ基では反応性が見られないのであるが、イソプロピル基ではメトキシ基と同様の反応性が見られるばかりか、ケイ素反応剤(allylsilane, TMSCNなど)との反応においてはメトキシ基より高い反応性を示した。適用範囲の検討や、更なる条件の最適化は必要であるが、より効率よい合成子の開発が期待できる成果である。
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