2011 Fiscal Year Annual Research Report
Dアミノ酸を組み込んだ新しい概念に基づく持続性プロテアーゼ阻害剤の開発
Project/Area Number |
21590017
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
赤路 健一 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60142296)
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Keywords | プロテアーゼ / 阻害剤 / Dアミノ酸 / HTLV-1 / SARS |
Research Abstract |
本研究では、プロテアーゼ阻害に基づくウイルス性感染症の治療薬開発を目標として、Dアミノ酸を組み込んだ持続性プロテアーゼ阻害剤の設計・合成と評価を行った。対象とするウイルス性疾患には、有効な治療薬がいまだ報告されていない二つの感染症を取り上げた。ひとつは日本西南部に特有の成人T細胞白血病(ATL)で、もうひとつは中国・東南アジアで猛威を振るった重症急性呼吸器症候群(SARS)である。 (a)持続性HTLV-1プロテアーゼ阻害剤の最適化 最適配置を持ったRetro Inverso型阻害剤の構造活性相関研究を行った。前年度で確立した最適配置のみを選択的に構築できる立体選択的合成法を利用し、固相合成経路の確立とN末側への構造多様性の導入を進めた。得られた化合物について前年度で確立した汎用HPLCを用いる方法で活性評価を行い、構造活性相関研究を進め活性の向上を図ることに成功した。 (b)持続性SARS 3CLプロテアーゼ阻害剤の設計・合成と構造解析 前年度からの検討で高い阻害能を示した化合物を低分子型持続性阻害剤へと構造変換した。前年度までの検討で高い阻害活性が得られている複数のアルデヒドペプチド誘導体とR188ISARS 3CLプロテアーゼとの共結晶作成を行った。3A程度の分解能が得られるまでX線構造解析測定を繰り返し、得られた複合体構造をもとに構造最適化を進めリード化合物の探索を行った。この構造最適化にあたっては特にS1およびS2サイトの相互作用最適化を優先し、疎水性相互作用を利用した相互作用強化を行った。その結果、より疎水性側鎖を持った低分子化合物がnMレベルのIC50値を示す阻害剤となることを見出した。
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Research Products
(3 results)