2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590024
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
伊藤 久央 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70287457)
|
Keywords | 合成化学 / 生理活性 / 天然物 / 全合成 |
Research Abstract |
特異な骨格を有する海産天然物の効率的合成法の開発というテーマのもと,当研究室で沖縄近海産軟体サンゴより単離構造決定を行ったヨナロライドの全合成研究について検討した.ヨナロライドは海産ノルジテルペノイドであり,5員環,6員環,7員環の炭素環が直列し,さらにγ-ラクトンを有する4環性化合物である.平成21年度に達成した左側3環性骨格の,平衡条件下でのretro-Michael反応,Michael反応,アルドール縮合を駆使した立体選択的合成法に関し論文を投稿中である.ここで得た知見をもとに分子右側の7員環をCope転位反応により構築するため,その基質合成について検討を行った.Cope転位反応の基質となるジビニルシクロプロパン部位の構築を目指し,全合成初期のDiels-Alder反応時に一方のビニル基構築の足がかりとなる官能基をジエンに組み込み,一方のビニル基の構築に成功した.引き続き分子内シクロプロパン化によるシクロプロパン環の構築について検討を重ね,シクロプロパンの合成についても成功している.現在もう一方のビニル基の構築について検討を行っており,Cope転位の基質が出来次第7員環を構築し,ヨナロライドの全合成を達成したい.また,7員環部位を最初に構築してから中央の6員環を構築する經路についても引き続き検討を行っている.さらに,光学活性体での合成を行うため,基質に対する不斉反応も検討しており,ラセミ体での全合成を達成した後にその経路に従い光学活性体での全合成を行う.
|