2009 Fiscal Year Annual Research Report
ビスオキサゾリンリガンドの特性を活かした新規反応の開発
Project/Area Number |
21590026
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
加藤 恵介 Toho University, 薬学部, 准教授 (80276609)
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Keywords | 有機化学 / パラジウム / ビスオキサゾリン / カルボニル化 |
Research Abstract |
研究計画に従い、まず三重結合を2つ持つ基質の合成を行った。次に、1,4-ジイン誘導体および1,5-ジイン誘導体を基質とした、パラジウム触媒下のカルボニル化反応を検討した。パラジウム触媒の種類やリガンドについて種々検討した結果、ビスオキサゾリン(box)リガンドを用いないで反応を行うと、三重結合は1つだけしか反応せず、すでに我々が報告している環化-カルボニル化反応が進行したオルトエステル誘導体が主生成物として得られた。一方boxリガンドを用いた場合は、2つ目の三重結合も連続的に反応したシクロペンテン-1,3-ジオン誘導体および双環性ラクトンが主生成物として得られることを見出した。さらに、種々の置換基を有する基質についても検討し、これらの反応の一般性を明らかにした。また、4置換炭素にフェニル基を有する1,5-ジイン基質(ラセミ体)では、パラレルキネティックレゾリューションが起こることも見出した。すなわち、1つ目の三重結合が反応して共通中間体となるアシルパラジウムが生じる。ここで(S)-Phboxリガンドを用いた場合、(S)-体の基質からは2つ目の三重結合の挿入が、(R)-体の基質からは2つ目の三重結合へのメトキシパラデーションがそれぞれ優先して起こることを見出した。これらの結果の一部は、すでに(Synlett2007,638-642)および(Chem.Commun.2008,3687-3689)に報告している。以上の結果は、boxリガンドの有無で2価パラジウムの触媒としての性質が変化したことを意味しており、boxリガンドは2価パラジウムのπ-bindingなLewis酸性を高めたものと考えている。次年度以降、この作業仮説を実験的および計算化学的に検証していく。
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Research Products
(12 results)