2011 Fiscal Year Annual Research Report
ビスオキサゾリンリガンドの特性を活かした新規反応の開発
Project/Area Number |
21590026
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
加藤 恵介 東邦大学, 薬学部, 教授 (80276609)
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Keywords | 有機化学 / パラジウム / ビスオキサゾリン / カルボニル化 |
Research Abstract |
[目的2]2-2:アルキノールを基質とした反応の検討と天然物合成への応用 (1)基質となる各種プロパルギルアルコール類およびホモプロパルギルアルコール類を文献の方法に従い合成した。 (2)アルキノール類を基質としたカルボニル化反応における、パラジウム触媒やリガンドのスクリーニングを行い見出した最適条件下、種々の置換基を有する基質でカルボニル化反応を検討し、反応の一般性を確立した。また、ビスオキサゾリンリガンドを用いなければ本反応が進行しないことから、申請者の作業仮説である「ビスオキサゾリンリガンドの特性」を実験的に検証できた。 (3)(2)で確立した方法に従い、TNF-α放出阻害作用を有する天然物ジヒドロカバインをはじめ、テトラヒドロヤンゴニン、ジヒドロメチスチシン等の短工程での全合成に成功した。また本反応を鍵反応として、抗生物質シストチアゾール類およびメリチアゾール類の合成のための有用中間体を合成すると共に、ジヒドロキシシストチアゾールAおよびCの形式合成を達成した。さらに立体化学が明らかになっていない5員環ラクトン構造を有する天然物、(+)-アニュラリンGおよび(-)-アニュラリンHの不斉全合成に成功すると共に、これらの立体化学を明らかにした。光学活性な原料は、ケトンの酵素還元によって調製した。 [目的2]2-3:実験的およびDFT計算による仮説のサポート 本分子間メトキシカルボニル化反応が、申請者の考えどおり、メトキシパラデーションにより反応が開始されることを実験的に証明した。また、ビスオキサゾリン-パラジウム(II)錯体およびパラジウムトリフルオロアセテートのメタノール錯体についてDFT計算を行い、ビスオキサゾリンの配位によりパラジウム(II)錯体がソフトな性質になる理由を考察した結果、ネクストLUMOの役割が重要であることを見出した。 以上のように、今回提唱している「ビスオキサゾリンリガンドの特性」を活かした新規反応を開発すると共に、天然物合成へ応用することで、開発した新規反応の有用性を示すことができた。
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Research Products
(21 results)