2010 Fiscal Year Annual Research Report
対面ポルフィリン二量体の超分子円二色性を利用する化合物の絶対配置決定法
Project/Area Number |
21590027
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高波 利克 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (40241111)
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Keywords | ビスポルフィリン / 不斉認識能 / SNAr反応 / 光学活性アミン / 分散性CDスペクトル / 絶対配置決定 / 光学活性アルコール / 非対応称ポルフィリン |
Research Abstract |
二つのポルフィリンのmeso位を鎖状構造で連結した一連のビスポルフィリン分子の構築法の確立と、これらのビスポルフィリン分子の不斉認識能の解明を目的に本年度は以下の二点について研究を実施した。(1)昨年度の研究において構築したビスポルフィリン分子は、光学活性アミンやジアミンなどの比較的高い配位能をもつ化合物を容易に取り込み、これらのゲスト分子の不斉を反映した分散型CDスペクトルを与えるが、より配位能の弱いアルコールやジオール類をゲスト分子として用いた場合には、分散型CDスペクトルは得られるものの、その強度は予想よりも低かった。そこで、電子吸引性置換基としてペンタフルオロフェニル基やトリフルオロメチル基をポルフィリン環上にもつ新規なビスポルフィリン分子を5種類構築し、これらのホスト分子の不斉認識能の解明を試みた。その結果、これらのビスポルフィリン分子がいずれも室温下、高い効率で配位能の弱い光学活性アルコールやジオールなどを認識することを見出し、本研究の目的である新規な化合物の絶対配置の決定法をほぼ確立できた。次年度は、これらの結果をさらに精査すると共に光学活性エポキシドやカルボニル化合物など、他のゲスト分子への適用について検討することにより本ホスト分子の一般性を明らかにし本研究のジャーナル等への投稿を目指す。また、これらのビスポルフィリン分子構築に関連して、(2)新規で簡便なポルフィリンの非対称官能基化法を確立した。すなわち、無金属ポルフィリンとシリルメチルリチウム試薬とのSNAr反応により生じるアニオン活性種をTMSC1存在下エノン類で捕捉した後、DDQで酸化すると、ポルフィリンの二つのmeso位にホルミル基と活性アルケニル基とを一挙に導入できることを見出した。本研究成果の一部については、現在、専門誌へ投稿中である。
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