2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21590029
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
森 裕二 名城大学, 薬学部, 教授 (40121511)
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Keywords | ポリテトラヒドロピラン / 収束合成 / ポリ環状エーテル / 海洋天然物 / オキシラニルアニオン |
Research Abstract |
ポリ環状エーテル化合物は5~9員環エーテルが梯子状に縮環した分子長30Aを越える特異で複雑な巨大分子構造を持ち、神経毒性(マイトトキシン、ブレベトキシン、シガトキシン、ガンビエロール)、抗真菌活性(ガンビエル酸)、細胞毒性(ギムノシン)などの従来の常識を超える強力かつ多様な生物活性を有することから魚貝類の毒化機構の解明と併せて試験・検査試薬や創薬シーズにつながる有用分子として生命科学の幅広い分野で注目を集めている。ギムノシン-Aは日本沿岸域で発生する赤潮の原因渦鞭毛藻Karenia (formerly Gymnodinium)mikimotoiから単離された化合物で、5員環が1個、6員環が9個、7員環が4個からなる14環性ポリ環状エーテル海洋毒である。本研究では全合成を目指してその基盤となる新規収束的合成法の開発研究を実施した。 はじめに、それぞれ6員エーテル環構造を有するトリフラート誘導体とエポキシスルホン誘導体の二つのフラグメントを合成した。エポキシスルホン誘導体とブチルリチウムの反応によって発生させたオキシラニルアニオンをトリフラート誘導体と反応によりエポキシ環上で直接アルキル化反応を行って両フラグメントを連結した。ついで、脱保護ののちマグネシウムプロミドでエポキシスルホン部をプロモケトンに変換後、DBUによる分子内エーテル化反応によって1個目のエーテル環が形成された6員環エーテルケトンを合成した。本化合物を酸処理するとヒドロキシケトンの生成と同時に分子内アセタール化反応が起きて2個目のエーテル環が形成されたメチルアセタール体が生成した。これをトリエチルシランによる還元的エーテル化反応を行うことによって、連結部に2個のエーテル環を構築することに成功した。本法は、X個のエーテル環とY個のエーテル環からなるフラグメント用いることにより、[X+2+Y]個からなるポリエーテル環を一挙に合成することができる新規な収束合成法である。
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Research Products
(6 results)